2024年7月20日、アトムグループ全店の代表・店長・運営陣が一同に会する「鉄腕会議」が開かれ、ひろむん総社長がアトムグループの新しい組織図を発表。これまでの組織体制が一新され、日本一のホストグループを目指すための布陣が明らかにされました。
その中で、ひろむん総社長の描くビジョンを実現すべく、グループ全体の戦略を考える超重要ポジション「トータルプロデューサー」に、梅田エリア3店舗で社長として活躍している嵐優季さんが就任!これまで、嵐優季さんはデータに裏付けされた根拠をもとに、次々と組織の効率化や仕組み化を実現してきました。
常にアトムグループの最前線で活躍してきた嵐優季さんは、トータルプロデューサーに就任した今何を思うのでしょうか。この記事を読めば、今後のアトムグループに必要な人材についてのヒントも得られますので、貴重なインタビューをぜひ最後までご覧ください!
嵐優季が分析するアトムグループの課題とは
——梅田エリアから初のミナミへの分店となる「ATOM-UNITE-」のオープンおめでとうございます!オープンして間もないですが、お店の状況はいかがですか?
ありがとうございます。まだオープン直後ではありますが、運営状況は想定の範囲内といったところです。
僕はATOM-CLEAR-の立ち上げを経験しているので、あの時のほうが切羽詰まっていましたね。人手不足で初回も入らず、本当に苦労しました。だから、UNITEの状況についてそこまで悲観はしていません。
ただUNITE のメンバーからすると、ATOM-UMEDA-というみんなが助けてくれる大箱で働いていたので、今の状況にかなり焦っているだろうなと思います。例えるなら、僕はアフリカ育ちで日本に来ましたけど、UNITEのメンバーは日本で育ってからアフリカに行っている感覚かもしれません(笑)。
代表の優希にこや、幹部補佐の優希キリトはミナミのホストクラブ経験者ですが、梅田エリアからミナミに逆輸入のような形で、しかもそれが分店の立ち上げなので誰も経験したことがない挑戦ですね。
——アトムグループ初の2部営業店舗「ATOM-UNITE 2nd-」もオープンしますし、今後が楽しみですね。
UNITE 2ndは、ATOM-UMEDA-創始者の希咲久琉社長がプロデュースしているので連携がとりやすいですね。梅田エリアでこれまでずっと一緒にやってきましたし、今後も協力しながら運営していきましょうと話しています。
—— ATOM-UNITE-の直近の課題はいかがですか?
これはアトムグループ全体の課題でもあるのですが、マニュアル整備がしっかりできていないんです。新しい取り組みをする時って、最初は指示・命令から始まって、そこから助言・誘導を行うことで組織に浸透させ、最終的に権限を移行するという流れが理想だと考えています。
僕はこういったフローを大切にしたいのですが、アトムグループは講習からスタートして実践に移っていくという仕組みが整備されていないんですよね。
——だからATOM-UMEDA-は教育や評価システムの整備をしっかり進めていたんですね。
まだ完全に追いついてはいませんが、そうですね。僕が代表になった時にヘルプ講習などの実施やマニュアル化を進めていきました。
そして、僕がトータルプロデューサーに就任したことで、今度は代表や店長にとって指針となるガイドラインが必要だと考えました。これまで、ある程度のマニュアルは整備できたと思っていたのですが、UNITEがオープンした時に上層部のあるべき姿についてしっかり考えられていなかったと気づいたんです。
これまでのアトムグループは、代表や店長などの重要ポジションに就く人に対して「人間力があればどうにかなるだろう」と任せていましたが、今後は方針をしっかり言語化していく必要があると思います。
やっぱり、どれだけ大変で面倒なことでも、必要なら1回作ってみることが大切だと思うんです。例えば、2年前は人事評価システムなんて必要ないと言われていました。しかし、システムを整備して数字として結果が出てきたことで、今では人事評価システムは必要という風潮に変わってきています。
「これは絶対に正解だ」と思うことは、誰かが基準として決めないといけないんです。それを決めないと、その基準が間違っているかどうかも気づくことができませんからね。
——優季さんは一般企業でのキャリアもありますし、アトムグループがしっかりと企業として成り立つように仕組み化を図っているんですね。
そうですね。前職で培った経験も活かして、アトムグループに足りない部分を補っていきたいです。
ATOM-CLEAR-に神渡翔さんっていう方がいるんですけど、翔さんは元々警察官をやっていてシステム整備が得意なんですよ。だから、僕が実現したい仕組みの整備は翔さんが主に担当してくれています。
——神渡翔さんはどういったポジションになるんですか?
僕直下の執行部というポジションに就いてもらっています。ホストクラブの組織図をつくろうとした時に、代表・店長・人事だけでは手がまわらない部分があると思ったんです。だから、細かい業務を担当してくれる機動隊のような部署が必要だと考え、執行部をつくりました。
翔さんは公務員として働いていた経験があるので、組織化やルール作りなどが得意で助かっています。一方、翔さんは従業員のマネジメントが得意ではないので、その部分は桜風春道さん(執行部)や嵐要さん(アドバイザー)が従業員とコミュニケーションをとってカバーしてくれていますね。
僕が恵まれていると思うのが、スペックの高い先輩たちに支えてもらっていることなんですよ。僕ひとりでは実現できないことも、能力や経験値の高い先輩たちがカバーしてくれるから形にすることができています。
また、金木ジアン(マネージャー)や柊咲あいす(ATOM-UMEDA-代表取締役)、優希にこ(ATOM-UNITE-代表取締役)や柊咲蒼(ATOM-CLEAR-代表取締役)など、心強い仲間も支えてくれているのでチームとして強いと思います。
ただ、もっと人材は欲しいですけどね。
——具体的にどんな人材が欲しいですか?
マネージャーが欲しいですね……。アトムグループってデータやエビデンスが残っていないことが多くて、これが残っていないと有効な施策を打つことができないんですよ。だから、狭井八矢日さん(グループ秘書)や濱田さん(ライター)を頼ることが多いじゃないですか。まずはデータを蓄積して、最終的にはマーケティングにつなげていきたいと考えています。
現状だと、こういったデータを集めるには従業員に個別でヒアリングするというアナログな手法が必要になってしまいます。ただ、トップ層が1on1ミーティングを推奨していくと中間管理職が疲弊して退職し、若年層の退職にもつながるという失敗を、既に大企業が経験しているんです。
アトムグループと同じような課題を抱えた企業が、どのようにして成功したのかを調査して真似するのが一番効率的だと思うんですよね。そのために、数字で説明できるよう各方面の整備を行っているところです。
上層部の能力を早く上げて、一般企業でも通用する能力を身につけないとナイトビジネスでしか勝てない企業になってしまいます。データ収集やマーケティングをしっかりと行い、最も効果的な部分に投資できるようにしていかないといけません。
グループの戦略として「今どの数字に対して向き合わなければならないのか」を整理する必要があると思いますね。
テーマは「見える化」。嵐優季がトータルプロデューサーとして成し遂げたいことに迫る
——優季さんがトータルプロデューサーに就任するまでにどのような経緯があったんですか?
僕はこれまでお話してきたように、きちんとビジョンを設定してから計画的に物事を進めていきたい性格なんです。そこで、ひろむん総社長からアトムグループが上手くいくために必要な戦略立案の部分を担ってほしいという話がありました。僕は組織化や人事配置を考えるのが好きなので、そういった部分を期待されているんだと思います。
今回の組織改革でATOM-TOKYO-の大空ひかるさんがエリアマネージャーに就任しましたが、ひかるさんも物事を順序立てて進めるのが上手いので、僕と相性が良いんです。
一方、副社長に就任した城山晧さんと内勤統括責任者に就任した升さんは対人マネジメント能力が高いので、組織のバランスがとれていると思います。
——優季さんがトータルプロデューサーとして成し遂げたいことについて教えてください。
僕のテーマは「見える化」ですね。アトムグループが取り組むべきだと考えているのが、グループがどういう方針で動いているのかについて、新人の子が入店した時点で理解できている状態にすることだと思っています。また、ポジションごとに役割や権限を明確にして、従業員が把握できるようにしたいですね。
各ポジションの役割や権限を明確にできれば、会長やひろむん総社長の価値や存在感もより大きくなると思います。今のアトムグループは従業員と経営層との距離が近いので、方針の機転が利きやすいというメリットがありますが、組織が崩れやすいというデメリットもあるんです。
ひろむん総社長が目指しているのは現状の組織体制ではないと提示してくれたので、僕は強い組織を作るために必要な施策を打っていこうと思います。
嵐優季が考える今後のアトムグループに求められる人材とは
——梅田エリアも管轄されていますが、引継ぎについても考えているところでしょうか?
そうですね、ちょうど今話し合っているところです。これは、あくまで僕の個人的な理想であって確定していることではありませんが、エリアごとに運営陣をつくって、その運営陣を旗艦店に所属させられたらいいなと考えています。
端的に言うと、小さなアトムグループをエリアごとに作れたらと思っているんです。運営陣は各エリアの店舗からメンバーを選出して結成し、求人も旗艦店のみに絞れたらいいですね。旗艦店のみに求人を絞っても、各店から選出した運営陣が揃っているので対応できると思うんですよ。
これは他グループの旗艦店も採用しているスタイルで、旗艦店にどんどん応募がくるんです。それに対して、旗艦店に十数人の運営陣が在籍しているので、どれだけ体験入店の数が多くても対応できるんですよね。運営陣もそれぞれ採用活動をしているので、従業員がどんどん増えていくみたいです。
そして、さらに僕の個人的な理想を言うと、新人は半年~1年間は旗艦店に所属してもらって、適正を判断してから管轄店舗に配属される仕組みにしたいと考えています。一般企業のように、入社後数か月は本社研修を受け、その後に配属が決まる形です。この仕組みになれば、より強固な組織体制がつくれると思うんですよね。
今後、アトムグループの旗艦店は売上が上がるのはもちろんですが、もっと脳みそが発達するはずです。そうなった時、データにもとづいてロジカルに会話できる能力が必要になるので、対人マネジメント能力や人柄だけでは通用しなくなるかもしれません。だから、この点についてみんなに早く気づいてほしいんです。
——だからこそ、梅田エリアは仕組み化やデータ分析に力を入れているんですね。
そうですね。簡単なことではありませんが、従業員の力を借りて整備を進めているところです。マーケティングをするには、ある程度ホスト業界を知っていないと難しいと思うんですよね。めちゃくちゃすごいマーケターも、2~3年はその会社で実際に働くそうです。
僕は現代最強のマーケターと言われている森岡毅さんが好きなんですけど、あの人もネスタリゾート神戸をつくった時に、実際に山に入ったり狩猟免許をとったりして施策を考えているんですよね。
ホスト業界で働いている人の中から有能なマーケターを輩出することができれば、めちゃくちゃ強いだろうなと思います。僕たちは成功する確率が高い施策を導き出さないといけませんし、その施策を導き出せれば、逆算して必要なステップを考えることができます。これまでのアトムグループは結果に対して次のプランを考えていたので、今後はもっと戦略的に目標を設定したいですね。
また、ホストを商品に例えると、現状は商品自体の強さに依存している部分が大きくて、なぜ売れているのか?を説明するのが難しいと思うんです。だから、売れるまでの仕組みづくりを考える必要があって、その仕組みを確立することができれば、どんな商品でもある程度売れるようになります。
僕が新人教育や講習で実働するのを辞めた理由は、この問題を感じたからなんですよね。良い商品を作るより、売れる仕組みをつくるほうが大切だと気づいたんです。
そこで、あらためてホストクラブにとって一番重要だと感じたのが、人事と求人についてどれだけ考えられるかという点でした。だから2年前に人事部を立ち上げたんですよね。
——今はアトムグループの管理部が全体の求人を把握できるようにデータ収集を始めていますね。
そういった動きを、グループ全体ができるようになるといいですよね。求人以外にも、プレーヤーや内勤の管理など、ひとつずつデータにもとづいた施策を打っていけば、みんなマーケティングの重要性に気づくと思うんです。
何度もトライ&エラーを繰り返して、徐々に正解率を上げていかないといけません。「ホスト業界で成功できる公式ってないよね」と諦めて、何もしないのはもったいないじゃないですか。
そういう経営を続けていると、ホスト業界全体の景気が悪くなった時にアトムグループの売上も落ちるのは必然です。そうではなく、たとえ他のホストグループの売上が落ち込んでも、アトムグループは売上を伸ばし続けられる仕組みをつくらないといけないんです。
——ということは、トータルプロデューサーに就任したことで以前よりもやりたいことを実現できるようになりましたか?
そうですね。今までは梅田エリアのみ管轄していましたが、トータルプロデューサーとしてアトムグループ全体のことを考える立場になったので動きやすくなりました。
今までは、梅田エリア以外の店舗の課題はわかるんですけど、実際にテコ入れすることはできませんでしたからね。僕も代表を経験しているので、今の代表陣たちが改善したい部分が理解できるんですよ。だから、協力してより良い店舗をつくりやすくなりました。
その人のビジョンや適正などを見ればキャリアプランもつくれますし、そういった情報も加味しながらグループ全体の施策を考えられるのが、トータルプロデューサーに就任して良かった点ですね。
——組織体制が大きく変わったことで、これからアトムグループに求められるのはどんな人材だと思いますか?
これは梅田エリアの運営陣にも日頃から伝えているのですが、どういったマネジメントをしているのかについて、しっかり自分でエビデンスを残して蓄積しておかないと今後の立ち回りが難しくなると思います。どういった目的を持って業務にあたっているのか、常に考えて行動することが大切です。
あとは、仲間を蹴落として自分の評価を上げようというマインドではなく、自分の評価を上げてプッシュアップしてもらうために、仲間の評価も上げるように動いてほしいですね。