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パン職人から売れっ子ホストを経て、組織運営側へ。異色の経歴を持つマネージャーの戦略とは。

2023/02/04

現在、2店舗のマネージャーとして組織を統括する「九路。わっさん(クロワッサン)」さん。元パン職人で、「パン作りと人材育成には、通じるものがあります」と語る笑顔が印象的でした。今回は異色の経歴からホストになった経緯や、プレイヤーから運営側に移ったきっかけ、マネジメントの秘訣などを話してもらいました。

 

「ボケ」から始まった、ホストの仕事。そして組織強化のため、運営側に。

 

──アトムグループで働き始めたきっかけを教えてください。

 

勤めていたパン屋さんの師匠から「一度、他の道も体験してみては?」とすすめられたのがきっかけです。「じゃあ,ホストをやってみます」と最初は“ボケ”として師匠に言ったところ、「今すぐ、応募しなさい」と(笑)。電話した先が、たまたまアトムでした。ボケからのスタートでしたが、やってみるとホストという仕事は面白かったですね。プレイヤー時代の武器は「昼職で培った、ホストっぽくない雰囲気と安心感」でした。月100万円の収入を得る一方で、接客スタイルなど「こうした方が、もっと良くなる」というパン屋さんで得た知識やノウハウを活かし、組織改善に向けた発言や行動をしていました。

 

──その後、現プロデューサーの大夢さんから、内勤をお願いされたと聞きました。

 

今のアトムはホールスタッフなどの「内勤」と、「プレイヤー」であるホストのパワーバランスがほとんど変わらない組織になっていますが、当時は完全にホストの立場が上でした。ただ、ホストが自分の業務に専念するためにも、内勤の強化は急務。そんな時、大夢に「プレイヤーから、組織のために内勤に変わって欲しい」と言われたのです。内勤が強くならなければ、組織として成長することは難しいと。実は、最初の一瞬だけ「大夢に賭けて、大丈夫だろうか?」と葛藤したことを覚えています。というのも、プレイヤーとしてのキャリアがリセットされ、内勤としてイチからのスタートになりますし、収入も一旦5分の1以下にまで下がることになるからです。ただ、大夢はそんなものを凌駕する存在でした。すぐに、内勤の道を選びましたね。正直なところ、「アトムという組織そのもの」に、当時はそこまで思い入れはありませんでした。しかし、大夢の考えることや行動は面白く、ワクワクするのです。だから、「大夢の言うことなら」と、引き受けましたね。

 

──人生を賭けるにふさわしいと感じた、大夢さんの魅力が知りたいです。

 

大夢とはほぼ同期で最初からウマがあい、タメ口で言いたいことを言い合える存在です。同じ寮だったので、日々「こうした方が組織はうまくいく」など、熱い話をしていました。その頃から今に至るまで大夢に感じているのは、シンプルに“尊敬”です。強いリーダーシップがありながら、全方位に目を配るきめ細やかさ、優しさを併せ持っています。特に人の“根”の部分にまでしっかりと寄り添う姿勢は、凡人には無理な突出した才能ではないでしょうか。「自分の大事な人を大切にする」ことはできても、みんなの幸せを願う博愛主義は難しいと思うんです。それだけのことをしながら、ホストとしても結果を出し、SNSなど新しいビジネスにも挑戦して成功しているので、もう完全に脱帽(笑)。「大夢の補佐に徹しよう」と心に決めました。まあ大夢は事務的なところは自分でやらないので、周りの支えが必要なのもありますね(笑)。

 

 

読書と筋トレで、脳と体を鍛える。内勤のステータス向上のため、戦略立案に専念へ。

 

──内勤の強化に向け、どのような取り組みをされましたか?

 

まずは、内勤の意識改革を促すことからのスタートでした。「どんな本でも良いので読書する」「筋トレをする」という習慣を、生活に取り入れることを推進。読書を継続すれば、知識や知恵が身に付き、あらゆるシーンで役立ちます。筋トレは「自分を追い込み、続けることでかならず筋肉が付くので、成功体験が得られる」という理由から始めました。ホストは開店後、お酒を飲み、接客に注力する仕事。内勤は俯瞰的に場を見渡しながら、どの席にどのプレイヤーをつけるのか考え、店舗全体をまわすのがミッションです。内勤が“縁の下の力持ち”として支えることで、ホストはより最高のパフォーマンスを出せるようになります。そのためにも、内勤の実力アップと地位向上が優先課題だったので、人材育成に力を注ぎましたね。

 

──組織改善や人材育成にあたって、工夫されたことは?

 

「戦術は任せ、戦略に専念」する方針を貫きました。具体的には、「付け回し」や「マイクでのアナウンス」といった内勤に必要なスキルである“戦術”は完全に部下たちに任せて、私は全体の流れやタイミングなどを見計らって「こう動くと、こうなる」と先回りして、示唆するといった“戦略”に特化した動きをしていましたね。私が直接口出しをしないことで、内勤メンバーたちの言葉をホストたちが“わっさんが伝えたいこと”として捉えるようになり、発言力が高まるとともに、メンバーたちも大きく成長。彼らの言葉がホストたちに刺さるようになり、ホストと内勤の関係性が対等なものに変わっていきました。

 

──パン作りと、人材育成の共通点はありますか?

 

パン作りは奥深く、面白い仕事です。たとえば、生地作りや発酵時間などは、湿度や温度などで、まったく違ってきます。人材育成も同じで、それぞれの個性を見出し、その人に応じたやり方でこねてあげると、素材の味を存分に引き出し、素晴らしい仕上がりにすることができるのです。また、ちょっとでもストレスを抱えている時や、体調を崩しているときに作ったパンは、形状が良くないなどの影響が出ます。この点も、メンバーたちから変化を感じたら、すぐに対応するというところに役立っていると思いますね。

 

わっさん

 

無理して「カリスマ」にならなくても良い。持ち味を活かし、行動で示す大切さ。

 

──仕事のやりがいは何でしょうか?

 

「これがやりがいだ!」という、特筆すべきものは無いですね(笑)。業務として、やるべきことをコツコツと進めています。個人的に楽しんでいるのは、人の成長に携われることやデータを収集すること。データといっても、数字ではなく過程や結果を見守り、自分の体感値として取り込むイメージです。例えばメンバーに重要な業務を任せてみて、成功すればもちろんうれしいですし、仮に失敗したとしても原因を究明することでノウハウになり、次に活かすことができます。あと、大夢のサポートは楽しいですね。基本的に感情人間なので、自分の中の「好き・嫌い」の軸を大切にしています。

 

──リーダーの育成にも尽力されています。秘訣はなんでしょうか?

 

人を魅了するような「カリスマ性」はある種の才能だと思います。そういう人は、放っておいても人が集まってきますが、みんながその才能に恵まれているわけではありません。だから、無理にカリスマ性を気取るのではなく、「持ち前の愛されキャラ」「ピュアさ」など、自分の強みを武器にすることをアドバイスしていますね。あとは、行動で示すことが重要です。例えば「一番早く出勤し、最後に退勤する」だけでも、周りの見る目は変わってきます。一生懸命頑張っている姿を見て、みんながリーダーとして扱ってくれるようになるんです。

 

──将来の夢を教えてください。

 

パン屋さんの師匠には、本当にお世話になったので、何らかの形で恩返しをします。パン作りは大好きですが、ビジネスとして展開をするというより、趣味として追求していきたいですね。夢としては、「一生ワクワクすること」が理想です。今のところ、大夢がそれを担っていますね。だから、彼がSNSをする際には編集などをすぐに手伝いますし、私がホストだったときも、自分の売上よりも大夢にあわせて行動していました。大夢が次に何を仕掛けても付いていってサポートできるようにフットワークを軽くして、用意しています。

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