interview | アトムグループ
アトム初期から入店し、ホストとして活躍後、30歳を機にプレイヤーを卒業。現在はボードメンバーとして経営にたずさわる、36歳のライトさん。バックオフィスを支える業務領域を、幅広く統括する存在です。中でもスタッフの満足度を高める、従業員エンゲージメントに尽力されています。そんなライトさんに、人との向き合い方などを語ってもらいました。
グループ全体を見渡し、支えるポジション。多岐にわたる業務を、統括。
──現在、運営側として、経営に参画されていますね。
今のアトムは、プレイヤーである「ホスト」と、組織を支える「内勤」が区分化されていますが、初期の頃は接客をしながら、経理や業者管理、お店に飾るポップや映像づくりなども兼任している状態でした。組織が拡大するにつれ、ひとりで全部を担うには、無理が生じてきました。そこで、28歳のときに「事務方に専念したい」と会長に伝えました。引き継ぎの2年間を経て、30歳でプレイヤーを卒業し、バックオフィスに専念することになりましたね。
今は、ホールディングス全般の採用や労務、人材育成といった人事業務から、広報や行事などの企画立案、制作にいたるまで、幅広い領域を担当してます。もちろん全部を自分だけで実行するのは不可能なので、任せるところは信頼できるスタッフに託していますね。
──直接手掛けている業務内容を教えてください。
スタッフたちのメンタルケアやモチベーションの向上のサポートに、直接たずさわっていますね。満足度を高めて定着率を上げ、組織の強化につなげています。スタッフのやる気を上げるためのイベント企画や運営、社内外向けの広報物の制作、動画の脚本・演出、制作などもAdobeのソフトを使ったりしながら、自ら手を動かしていますよ。制作は興味深い仕事ですが、飽き性なところがあるので、ある程度まで上達したら、次のことにトライしています(笑)。
──採用にも、たずさわっているそうですね。
ホストの場合、最初の面談は担当しますが、あとは各店に判断をしてもらいます。他の業態と違い、ホスト業界は特殊で、圧倒的な売り手市場。過去の事例でいうと「クロックスで来た」「連絡が1ヶ月遅れている」といったような、よっぽどなことが無い限り、不採用ということはありません。ただ、どんなに男前だったとしても、非常識な人を入社させると現場が苦労するので、その辺りは冷静に判断をしていますね。ホスト以外だと、グループ会社のエステサロンの女性従業員や、クリニックの看護師の面接にも、間接的に加わっています。
従業員エンゲージメントを高め、「組織を強くする」というミッション。
──スタッフのやる気を引き出し、満足度を高めるためにやっていることは?
シンプルにいうと「親身になって、話を聞くこと」です。深掘りしていうと「承認欲求を満たす」ことが重要だと思っています。人間、誰しも「自分に矢印を向けてくれる存在」を求めていますが、立場が上になったりすると、部下たちの手前やプライドなどの理由で、弱音を吐く場所が無くなり、それが離職の原因になったりしがちです。
そうしたことを防ぎ、組織を強くするために、メンタルケアに力を注いでいますね。必要なのは、普段から信頼関係を構築するコミュニケーションです。僕の役割は絆創膏のようなものなので、傷が浅いうちは有効的ですが、深い状態になってしまってからだと手遅れ。そうならないように、常に目を配っています。
──信頼関係を構築する秘訣を教えてください。
一例をあげると、「Aさん」のことを知りたいとき、「仲の良い、Bさんも一緒に」と、ご飯に誘います。すると、客観的なBさんの視点も加わるので、Aさんを立体的に理解し、僕が知らない一面も知ることができますよね。また、Aさんの人間関係の把握や、「仲が良い」と選ばれたBさんもうれしい気持ちになるので、いいことばかりです。
──ご自身で、「楽しい」と感じる業務はありますか?
仕事において、感情に左右されることはないので、「これが楽しい」といったことはないですね。すべて「平(へい)」という認識です。プレイヤーのときは、勝ち負けがハッキリしているので「男同士、熱くなる」ということもありましたが、今は俯瞰的に組織を捉え、物事を粛々と推進しています。苦労したのは、元々僕は、「狭く深い人間関係」がほとんどでしたが、人事は「広さ」が求められるので、少しだけ大変でしたね。

当たり前のことを、コツコツと地道に。みんなから愛される「人間力」を重視。
──アトムで「活躍する人材」の特徴は?
「男から好かれるやつ」ですね。一匹狼タイプは、当社のニーズに合っていないと思います。人間力が評価され、「あのホスト、アトムっぽいね」という言葉を聞くと、育成する側としては喜びを感じますね。人間力といっても、最初から難しいところを求めているわけではなくて、たとえば「人の悪口は言わない」「スタッフたちにマウントをとらない」といった、普通のことです。当たり前を徹底することで、お客様から自然と愛されるキャラクターになり、ヘルプに付くスタッフも、気持ちよく仕事をすることができます。
たとえば、今は1300万円プレイヤーの「しぐま」は、採用のとき「地方から出てきた感」が強いイメージでした(笑)。ただ、仲間想いで負けず嫌いの、ええやつでしたね。今ではよく表彰されている「るる」も、他店でちょっと経験があったのですが、伸び悩んでうちに来てくれました。るるは今もよく連絡をくれていて、ご飯に誘われることも多いです。よくドタキャンはされるんですがね(笑)。現在の売上No.1になるのは正直驚きましたが、本人の努力があったからだと思います。
──これからアトムグループで働きたいと思っている方、今伸び悩んでいるプレイヤーの方たちへメッセージをお願いします。
きちんと自分の夢や目的達成に向けて走り続けて欲しいですね。例えば、「他に明確なやりたい事がないからホスト業を続ける」「ホスト業を諦めたから裏方業に回る」みたいな人格になって欲しくないと思っています。
僕自身もホスト業で失敗したから抜けたんでしょと思われることもありますが、きちんと自分なりの納得いく結果(今のホストたちの売上には足元にも及ばないけど当時グループNo.4)を出してから多方面へ視野を広げました。なので、後輩たちにはひとつの明確な目標を作ってそれに向かって走って欲しいです。
なかなか思うような結果が出なくて辞めたくなったり休みたくなったりするけど、努力と結果は必ず比例するからもう一度自分の夢や目標を見つめ直して欲しいですね。
ホスト業界はひとりで1000万売上げることが当たり前の時代になりました。凄いバブル市場なので、他では決して手に入れられない栄光やお金を最短距離で掴み取っていきましょう。
2年目の10月時点で年間売上1億円以上を達成し、2022年アトムグループ売上トップを走るエグゼクティブプレイヤーのるるさん。実は、1年目から虎視眈々と戦略を練り上げ、実行していたそうです。歌舞伎町のアトム本店『PLATINA』で活躍中のホスト、ちょこれいとさんに触発され、「本気でホストを目指そう」と決め、アトムに飛び込んだという、るるさんにインタビューしました。
1年目は2年目で成功を掴むための期間に。1億達成のための戦略とは。
──アトムに入ることを決めた理由を教えてください。
アトムのちょこれいとさんのYou Tube配信をみて、「発言がかっこいいな」と思い、本気でホストを目指そうと考えました。たくさんのお店を体験でまわりましたが、「ルックスの系統でかぶる人がいない」「雰囲気が良く、フレンドリー」という理由で、アトムに決めましたね。ホストを選んだ理由は、シンプルに「成果主義」なところ。自分の頑張りと結果次第で稼げる仕組みが、僕に向いていると感じたからです。
──2年目にして、売上1億円以上を達成されていますね。
1年目は1000組のお客様を対応し、6000万円の売上でしたが、それは今年1億を目指すための布石でした。今は、月間アベレージで1000万円の売上を出しています。結果を出すために、すべての行動を考え抜いて行うようにしています。たとえば、僕は営業をかけることをしません。こちらがお客様を追いかけるのではなく、あくまでも「来てもらえる」存在になるため、ブランディングを徹底しています。1年目は「このお客様は、多額のお金を使ってくれたから追いかける」といったことはせず、とにかく「たくさんのお客様とお会いする」ことに重点をおいて、自分のことを知ってもらえるよう行動をしていましたね。
──そうした戦略は、どこかで学んだのでしょうか?
大学では経営学を専攻していましたが、そこはあまり関係がなく、独自で編み出していきました。アトムには、目標になる凄い先輩たちがたくさんいるので、考え方や行動をまずは真似るところから始めます。負けず嫌いな性格に火が付き「先輩ができるなら、自分にも可能だ」と考えていますね。ネガティブになっても、時間がもったいないだけなので、ありとあらゆる状況を利用し、ポジティブに考えて動くようにしました。こうした思考回路は、もともと持っていたと思いますが、アトムに来たことでより磨かれたと思います。

いつも上を向き、前進する。常にポジティブな発信を。
──この1年間で、意識されたことはありますか?
昨年は準備の期間だったので、今年が勝負の年でした。1年目に実施していた、「組数(お客様の数)を追いかける」ことをやめました。やめてからは僕を特に応援してくれる、特定のお客様との時間を増やしましたね。昨年のブランディングで土台作りができていたので、成功に導くことができました。工夫していたことのひとつは、「接客で人間味を出す」ということ。「僕個人」を大切に思ってくれるお客様に対して、表面的なところだけではなく、心を開き、本音で話すことに力を入れていました。お客様に直接、これからは全員と会えるわけじゃないと伝えるくらいに本音ですね(笑)
──苦労されたことや、努力したことはありますか?
大阪に来たときはお金もなく、家も友人と一緒に住んでいました。そのあたりが、苦労したことになるかも知れませんが、僕自身あまりネガティブにとらえていないんです。むしろ、当時のハングリー精神のおかげで今があると思っています。そもそも、ホストで成功するための戦略を練ったり、行動したりと仕事に没頭していたので、家には寝るために帰るだけ。それ以上は必要ありませんでした。持論なんですが、人生って周りから見て“ポジティブにみせるしかない”と思うんです。ネガティブな印象を与えてしまうと、周りに気を使わせてしまうし、万が一にも仕事でそれが出てしまったらお客様に迷惑をかけることになります。だから、常にポジティブな発信を心がけていますね。
努力については、特に「これをがむしゃらに頑張った」と意識をしているところはないです。ただ、1億円プレイヤーになったのは決して偶然ではなく、毎日の積み重ねがあったからこそというのは胸を張って言えますね。
──楽しいと感じたエピソードを教えてください。
お客様やアトムのみんなに認められ、評価されるのはうれしいですね。アトムには、僕から見たら“神”のような存在の凄い先輩たちがいます。そんなアトムの中で「1年目で1000組の接客」「2年目で売上1億円以上」という過去誰も成し遂げていない結果が残せたのは感無量でした。大学生の時、自分が1億円プレイヤーになるなんて夢にも思ってもいませんでしたが、ホストという仕事は夢が叶う世界だなと実感します。昔と違って今は、ブランド物など欲しいものは全部買うことができますし、逆に使う場面がないくらいですね。

みんなが支えてくれるからこそ、夢が叶う。
──アトムのサポート体制などについて、教えてください。
アトムは周囲のみんなが支えてくれるので、めちゃめちゃ良い環境です。売れてる人たちのノウハウをみんなでシェアし、後輩がしっかりと吸収できるように教えてもらえる体制が整っています。ただ、僕の場合は、基本的に自分のやり方を貫くタイプでしたね。自由さとともに、結果主義がアトムの良いところなので、成果が上がっていれば自分でノウハウを生み出し、実践していくことができます。
──活躍できたのは「アトムだから」という理由は大きいでしょうか?
そうですね。というより、アトムじゃなければ無理だったと思います。尊敬できる先輩たちがいて、僕たちをサポートをしてくれる内勤スタッフたちがいて。すべてが、しっかりと噛み合っているアトムだからこそ、ここまで早く1億円を達成できました。あとは、僕たちの意見を吸い上げてもらえるところも、アトムの魅力です。実際に「多数の組数を対応したホストを評価して欲しい」と提案したところ、新たな評価制度ができました。結果を出すために頑張れたのも、周囲から認められることで自分の意見が届くのを知っていたからですね。
──将来の夢や、ビジョンなどを聞かせてください。
「楽しいこと、ワクワクすることを続けたい」という気持ちが強いですね。だから、今はプレイヤーとして、できるところまで突き詰めたいと考えています。ワクワクするのは、新しいことへのチャレンジなので、TikTokなど発信の強化をしていきたいです。個人的な夢としては島をふたつくらい購入して、何もせずに暮らす生活にも興味があります。
未成年の頃からアトムグループでホストとしてのキャリアをスタートし、デビュー1年で月間売上1,000万円を達成するという偉業を成し遂げた咲夜愛斗さん。現在もプレイヤーとして最前線で活躍されている一方で、ATOM本店の支配人としてマネジメントにも力を入れています。今回は、名プレイヤーとしての知見も活かしながら独自の教育を展開する愛斗さんに、人材育成の秘訣や求心力を持つためのコツなどについてお話を伺いました。
プレイヤーの背中を優しく押すことで、自発的な成長を促す
―愛斗さん自身が未成年だった頃に、プレイヤーとして努力してきたことを教えてください。
現在は、お酒をあまり飲まないプレイヤーでもホストとして売れる可能性がありますが、僕が未成年で入店した頃は“お酒を飲まずに売れるプレイヤーになる”ということが非常に難しかったんです。
そこで、僕がとにかく意識したことが「いかに接客力を向上させるか」という点です。
先輩の良い部分を観察して盗むなど、どうやったらお客様により良いサービスを提供できるかということを真剣に考えていました。
この「接客力をどのように向上させるか」についてはアバウトに考えるのではなく、意識すべきポイントをしっかりと具体的に考えることが重要ですね。
あと、未成年はお酒を飲めないので「どの要素であればホストとして先輩たちに勝つことができるのか」という点も考えなければなりません。
例えば、僕は未成年だからこその「フレッシュさ」があることに加えて「お客様と向き合える時間が多いから、お客様一人ひとりに自分の魅力をしっかりアピールできる」ことも強みとして捉えていました。
営業中以外で空いた時間を自分の趣味などに使うのではなく、お客様としっかり向き合う時間として使っていましたね。
未成年のプレイヤーに限った話ではありませんが、誠実にお客様と向き合うことは非常に重要です。
そのうえで未成年というブランディングをしっかりと理解し、強みを活かすことができれば売上も伸びていくと思います。
―入店3か月未満の新人にはどのような教育を行っていますか?
入店3か月未満の子には、とにかくいろいろな経験をしてほしいと思っています。
「失敗してもいいから自分の好きなようにチャレンジしてほしい、ミスしてもカバーするから心配しなくていいよ」ということを、いつも伝えていますね。
―入店3か月以上1年未満の方にはどのような教育を行っていますか?
ホストという職業がどういうものなのかを段々わかってくる時期なので、入店3か月以上のプレイヤーには「ホストとして成長するための具体的な学び」を意識しながら日々働いてほしいと伝えています。
先輩の良い部分を盗んだり、どうやったら今以上に売上を伸ばせるのか具体的に考えたり……教育はもちろん行いますが、成長につながる要素を自発的に学んで糧とすることが重要ということを伝えるようにしていますね。
―中堅プレイヤーの教育ではどのような点を意識していますか?
ホスト歴がある程度長くなってくると、一時的にモチベーションが下がってしまうプレイヤーが出てくる場合があります。
思うように結果が出ないプレイヤーもそうですが、ある程度の結果を出しているプレイヤーも現状に満足してしまい、モチベーションが低下するケースがあるんです。
だから、現状に満足することなく「できるだけ高い目標を掲げてほしい」ということを中堅プレイヤーたちには伝えています。
モチベーションって、自分で上げるよりも誰かに上げてもらうほうが効果的だと思うので、そこを僕がサポートできるよう意識してコミュニケーションを行っていますね。
あと、中堅プレイヤーもさらに成長できるポイントがあると思うので、そこを見つけてアドバイスすることも僕の役割だと考えています。
―素行があまり良くないプレイヤーに対してはどのように接するようにしていますか?
過度に怒ったり見放したりするのではなく、「徐々にでも生活態度が改善されるよう長い目で見る」ことを意識しています。
人は変われると思うので、素行が悪いプレイヤーにも親身に寄り添い、そばで見守るようにしていますね。
―幹部教育はどのように行っていますか?
人によって得手不得手があると思うので、適材適所の配置を意識するようにしていますね。
幹部に対してあまりに高い理想を求めすぎるのも良くないですから、それぞれの方が持つ長所を活かせるように導ける教育が重要だと考えています。
どんなプレイヤーにも親身に寄り添い、進むべき道を照らす存在

―どちらかというと、ATOM本店は数字よりもモチベーション管理を重視しているとお聞きしました。
そうですね。
モチベーション管理も重要ですし、あとはチームにおけるプレイヤー同士の相性も重視しています。
相性は性格的な部分も大きく影響しますが、スキル面においても似たタイプのプレイヤー同士がマッチングできるようなチーム作りを意識していますね。
チームの先輩やリーダーが、人間性やスキル面において自分の上位互換のようなプレイヤーだったら、そのプレイヤーの良い部分を取り入れることで成長しやすい環境になると思います。
―今後、ATOM本店をどのようなお店にしていきたいですか?
僕の理想としては、幹部一人ひとりのレベルがさらに向上し、僕がお店を見ていないときでも相互に高め合ってくれるような環境にしていければと考えていますね。
―売上を上げるための秘訣はありますか?
まず、僕はお店全体のレベルが上がらないと数字も上がりにくいと考えています。
たとえスタープレイヤーが一人いたとしても、他のプレイヤーのレベルが低ければ、魅力的なお店だとお客様に感じていただくことは難しいでしょう。
一人のプレイヤーが売上を上げるのではなく、プレイヤー全員の売上が上がっていくような環境にしていくことが重要です。
その中で、さらにスタープレイヤーが生まれるという環境になれば最高ですね。
これは店づくりにおける僕の目標でもあるので、今後代表に就任したらしっかり取り組んでいきたいと考えています。
実は、そのためのベース作りには既に着手していて、中堅プレイヤーを中心にコミュニケーションをとっているところです。
中堅プレイヤーの売上をさらに伸ばすことができれば、ATOM本店はひとつ上のステージへ到達できると思います。
ポテンシャルは十分にあるので、高いモチベーションを維持できるよう僕も全力でサポートしていきますよ。
―従業員のモチベーションを上げるためのポイントはありますか?
僕はマンツーマンでめちゃくちゃ話し合いますね。
頭ごなしに「しっかりやれよ」と言ったところで、頑張ろうと思える人ってほとんどいないと思うんですよ。
プレイヤーによって悩みは違うので「なぜモチベーションが下がっているのか」「どうしたらモチベーションが上がるのか」という点を、一人ひとりと向き合いながら問題解決していくことが重要だと思います。
だから、売上が好調ではないプレイヤーを複数人集めてまとめて指導するという方法は、あまり効果がないのかもしれません。
―モチベーションが下がりやすいプレイヤーに共通点はありますか?
ホスト歴がある程度長くなってくると、プレイヤーによってはどうしても一時的にモチベーションが下がってしまう時期があるんですよ。
その原因として最も多いのが「ホストとしての目標が定まっていない」ことです。
例えば、「これだけの売上を上げられるプレイヤーになりたい」とか「お店の中でこの役職に就きたい」とか、自分がホストとして目指す目標がなければモチベーションを維持することは難しくなってしまいます。
だから、まずは無理して目標を掲げるのではなく、「なぜ自分はホストをやっているのか」という原点に立ち返るところから寄り添うことで、そのプレイヤーがホストとして進むべき道を見つけられるようサポートしていますね。
ともに働くことで“理想のホスト像”や“人生の目標”をイメージできるお店を目指す

―退店防止策はどのように実施していますか?
「ATOM本店で働き続けたい」と思ってもらうためには「尊敬できるプレイヤーやスタッフがいて、その方々と働き続けた先に明るい未来があると感じてもらえること」が重要だと思っています。
「このお店で働き続ければ、自分は人として、ホストとしてさらに成長できる」
「この先輩に追いつけるよう努力を続けていけば、自分も素晴らしい景色が見られる」
そう感じてもらえるような環境を作り上げていくことこそが、一番の退店防止策になると考えています。
“楽しく働く”という部分ももちろん重要ですが、僕たちと一緒にホストとして働き続けた先に「自分が目指すべき理想のホスト像や、人生の目標をイメージすることができる」と感じてもらえるよう、日々意識しながらコミュニケーションをとるようにしていますね。
―愛斗さんが発信している今後のビジョンについて教えてください。
僕のチームの子たちには「店舗売上で圧倒的な結果を出せるお店を作ろう」と伝えています。
アトムグループ内で店舗売上ランキングNo.1にもなりたいですし、ゆくゆくはアトムグループが大阪で一番売上を上げているホストグループになれるよう、貢献していきたいですね。
―愛斗さんのように求心力を持つためのコツはありますか?
強いて言うのであれば「人に嫌われるような言動をとらない」ことを徹底することじゃないかなと思います。
「自分はやりたいようにやるから、全員に好かれなくてもいい」というスタンスのプレイヤーもたまにいますが、そのスタンスの方が上の役職に就いてしまうと、相性が合わないプレイヤーの退店につながってしまう可能性があるんです。
だから、ホストとして上の立場に立つのであれば、全員から好かれるような人間力の高いプレイヤーであることに越したことはないと考えています。
その点を意識したコミュニケーションを日頃から心掛けつつ、どんなプレイヤーにも親身に寄り添ってあげたいと考えていることが、求心力という部分につながっているのかもしれません。
―愛斗さんが理想とする人物像について教えてください。
僕が理想としている人物は環修斗会長です。
高い目標を掲げるだけでなく、その目標を実現するために努力していたり、多くの人に慕われたりしている姿は本当に憧れますね。
僕も環会長のような存在に近づけるよう、高い志を持ってこれからも精進していきます。
ホストクラブ最激戦区である東京・新宿歌舞伎町において、異色の輝きを放つ「ATOM -TOKYO-」。そんなATOM-TOKYO-でチーフを務める海太さんは、さまざまな問題を乗り越えながら現在の体制を築き上げた「陰の立役者」です。今回は、内勤という枠組みを超えて活躍されている海太さんに、教育面での重要なポイントや現在の体制に至るまでの経緯などについてお話を伺いました。
プレイヤーの持つ性質に応じて、カスタマイズした教育を実施

―歌舞伎町という大阪と異なる土地で、ゼロから出店して店舗を作り上げるために重要なことを教えてください。
一番重要なのは「教育」ですね。
ライバル店が多いので、移籍金とかを積まれてどんどん引き抜かれてしまうんです。
だから、最初のうちは経験者が入店してこない前提でやるしかなくて。
まずは「教育面で歌舞伎町トップを獲ろう」という気持ちで取り組んでいました。
その結果、1,000万プレイヤーも1億円プレイヤーもゼロから育てることに成功したので、それが自分にとって一番よかったと思う点ですね。
―未経験者を1,000万プレイヤー・1億円プレイヤーまで仕上げていくためのポイントはありますか?
ホストとしての教育だけではなく、人間力についても教育していく必要があります。
―まず、ホストとしての教育で重要なことは何がありますか?
大事なことがありすぎて一概には言えませんが……。
強いて言うなら「言われたことに対して、どれだけのスピード感と期待以上のクオリティを持ってこられるか」という点は重視していますね。
言われたことを実行するまでに1週間かかる子もいれば、次の日には終わっている子もいる。
そこのスピード感はすごく大事かなと思っています。
―とにかく場数を経験するとか、思考の回数なども重要ですか?
そうですね。
基礎はしっかり教えるので、素直にそれができる人は売れていくと思います。
逆に、言うことを聞かずに何でも自己流でやってしまう人はなかなか売れないですね。
―人間力の教育についてのポイントはありますか?
「売上が上がれば上がるほど、周りへの感謝の量も増えるからな」ということはいつも伝えていますね。
売れたことで慢心してしまい、感謝の気持ちを持てない人はすぐにお客様も切れてしまいます。
例えば、遅刻したとしても「罰金払えばいいんでしょ」というスタンスになって、変に勘違いしてしまう人も中にはいるんです。
そういう部分をしっかり教育することで、1回だけ1,000万円を売れる人間ではなく「1,000万円をいつでも売り続けられる人間」になってほしいと考えています。
あと、当たり前ですけど「報告・連絡・相談」は徹底するように教育していますね。
そこも売れるために重要な「スピード感」につながる部分だと思います。
特に若い子に多いのが、一時的に売上が上がったとしてもすぐにお客様が切れてしまうという問題。
売上が上がったときに、しっかりお客様や周囲の方に感謝することができないと、売り続けられるプレイヤーになっていくことは難しいです。
「すごいのはあなたじゃない、お客様だよ」ということを、プレイヤーには常に伝えるようにしていますね。
それに、売れているプレイヤーも感謝のマインドをしっかり持っているので、天狗になっている子を見つけると「勘違いするなよ」と言ってくれるんです(笑)
上層部にそのマインドが浸透しているので、組織として良い循環が生まれています。
どこに行っても通用する「謙虚で周りに感謝できる男」になってほしいですね。
―プレイヤーを一律に教育するということは、現実的に難しそうですね。
できないですね。
各プレイヤーの成長度合いと、人間としての成熟度合いに合わせた「カスタマイズされた教育」を意識していくことが重要だと思います。
首脳陣の交代劇を経て、体制を刷新

―ATOM-TOKYO-は以前の運営体制からかなり変わった印象がありますが、海太さん自身はどのように感じていますか?
そこは意識して変えましたね。
以前は看板プレイヤーを育てて、そのプレイヤーにお店を引っ張ってもらうスタイルだったんです。
だから正直、8~9割のことは目をつぶって好きにやってもらって、サポートだけを全力でやるようにしていました。
ただ、プレイヤーと運営陣のパワーバランスに偏りがあると、慢心したプレイヤーを生み出す要因にもつながってしまって……。
これは僕の失敗体験ですね。
プレイヤーが気持ちよく働けるような環境づくりに注力していたつもりだったんですけど、影響力が偏りすぎるのもよくないということを学びました。
今は、プレイヤーと運営陣のパワーバランスが5:5になるような店づくりを心掛けています。
―ATOM-TOKYO-で特に印象に残っている成功体験はありますか?
去年は売上1,000万円プレイヤーの輩出を何度か目指したんですけど、全部失敗に終わってしまいました。
でも、なんとか下の子たちに1,000万円プレイヤーの背中を見せたいと考えていたんです。
当時新人だった柚貴れんにも「おまえが1,000万円プレイヤーになってくれ」という想いを伝えていました。
そこで実行した施策が「元YouTuber へずまりゅうとのコラボ」です。
あのコラボで、1,000万円を売る人の背中や努力の仕方を見せることができました。
―あのコラボには賛否両論あったとお聞きしました。
たしかに賛否両論ありましたね。
ですが、あのときは売上も落ち込んでいましたし、守るべきものが少なかったんです。
だったら起死回生のために賭けてもいいんじゃないかなと。
その結果、2か月後・3か月後には連続で1,000万円プレイヤーが誕生しました。
未経験者をイチから教育し、へずまりゅうとのコラボという施策を打って1,000万円プレイヤーが誕生したことは、自分にとって大きな成功体験になっています。
―これから活躍したいと考えているプレイヤー・内勤にメッセージをお願いします。
昔すごかった人のなかには「昔のホストは―」とか「昔だったらそういうの許されないよ」って言う人が一定数いて。
そういう昔を語ることって、あまりカッコよくないじゃないですか。
過去にどれだけの栄光があったとしても「今を勝負できる圧倒的な力」が必要だと僕は思います。
それと、上に立つ人間には未来(ビジョン)を語る能力も必要です。
僕は毎日1時間本を読むことで、常に新しい知識を身につけるようにしています。
そうやって得た情報からビジョンを構築し、従業員を引っ張っていけるように意識していますね。
―現在、ATOM-TOKYO-でお伝えしているビジョンを教えていただけますか。
2022年は、この目標に取り組んできました。
- 1. 1,000万円プレイヤーを5人輩出
- 2. 売上アベレージ3,000万円(小計)
- 3. 組数100本プレイヤー誕生
そして、2023年
の目標はこのように伝えています。
- 1. 武華冬夜、柚貴れんを1億円プレイヤーにする
- 2. 新たな1,000万円プレイヤーを3人輩出し、計8人の1,000万円プレイヤーが在籍する店舗にする
- 3. 店舗の拡大移転
―ATOM-TOKYO-から見た、大阪の店舗の印象はどうですか?
やっぱり箱がキレイだなと思いますね。
歌舞伎町ではなかなか良い物件が空かないので……。
ただ、将来的には今の2.5倍くらいの規模の店舗に移転して、そこを本店にしたいなという想いはあります。
―移籍金を積まれることが多い歌舞伎町において、金銭面以外でATOM-TOKYO-がアピールできる魅力を教えてください。
歌舞伎町のホストって、他店の話を聞くと「従業員同士がめちゃくちゃ仲悪い」といった話をよく耳にします。
その点、ATOM-TOKYO-は「ONE TEAM」のスローガンのもと、一致団結することを大切にしています。
僕自身、自分の趣味にみんなを巻き込むのが得意ということもあって、店外での交流も積極的に行っているんです。
ビジネスだけでなく、友達としても居心地の良い場所だと思ってもらえたら、簡単には辞めないですよね。
ATOMグループの旗艦店であり、グループトップクラスの実力派ホストが集結するATOM本店。そんなATOM本店で代表取締役を務める「浪速のなっちゃん」ことなつきさんは、長年グループの広告塔として一際強い輝きを放つ存在です。誰にでも裏表なく接するなつきさんですが、強者揃いのATOM本店をどのように導いてきたのでしょうか。今回は、なつきさんが店づくりで重視しているポイントや、ATOM本店ならではの運営体制についてお話を伺いました。
“ええやつ”同士が楽しく働ければ、自然と良いお店になる
―ATOMグループで売上No.1店舗を目指すために意識してきたことを教えてください。
一番重視してきたことは「人間力」ですね。
ホストって、なかには自分のことだけを考えて行動してしまうプレイヤーもいるんですけど、人の立場になって物事を考えられる“人間力の高いプレイヤー”に導くための教育を行ってきました。
人間力をどのように磨いていくかに関しては「当たり前と思えるレベルを上げていくだけ」だと僕は思っています。
例えば、裏で愚痴を言わないとか……最初は本当に小さなことから改善できるように取り組んでいきました。
「こんな小さな問題で会議しなければならないのか」と思うことも、以前は正直ありましたね。
でも、そうやってコミュニケーションを重ねて人間力が備わってくると、各々が自分で考えて行動してくれるようになったんです。
今は人に任せられることも増えてきたので、人間力の教育は本当に重要だなと感じましたね。
あと、感謝の気持ちを持つことはもちろん重要ですが、僕は「楽しく働けること」が大切だと思っています。
例えば、その日のシフトが好きな先輩・後輩とかぶっていたら、出勤前から「今日はあの人と一緒に働けるんだ」って楽しい気分になるじゃないですか。
もちろん仕事中も楽しく働けるわけで、僕はその環境が理想だと考えているんです。
「楽しさ=居心地の良さ」につながると思いますし、人間力の高いプレイヤー同士が楽しく働けていたら、自然と良いお店が出来上がりますよね。
―レクリエーションも積極的に行っているとお聞きしました。
ATOM本店のレクリエーションは、僕もびっくりするくらいお酒を飲むんですよ(笑)!
でも、そこまで飲むからこそ本音で語り合える部分もあるんじゃないかなと思います。
僕自身、従業員に接するときは「自然体でいること」をとても大切にしているんです。
変なプライドを持ったり、駆け引きをしたりすることなく接すれば、自然と相手も心を開いてくれると思います。
―退店防止策はどのように実施していますか?

まず、僕はこのような図を見せるようにしています。
「売上はあまり高くないけど、ヘルプが上手くて性格の良いプレイヤー」とか、「自分のことだけを優先しがちだけど、売上は高いプレイヤー」など、いろいろなプレイヤーがいると思います。
そのなかでも「売上が低い+お店の愚痴ばかりを言ったりするような人間性の低いプレイヤー」に関しては、あまり引き止めるようなことはしていませんね。
もちろん、何度か話を聞いたうえで改善できそうな部分があれば寄り添うようにはしています。
ただ、ATOM本店は本当に良い環境になってきているので、そこに悪影響を及ぼすようなプレイヤーに関しては、強く引き止める必要はないと伝えていますね。
それと、なぜ辞めたいと思ったのかという理由についても、しっかり話を聞くようにしています。
辞める理由が「夢を実現するため」なのか「現状から逃げているだけ」なのかによって、対応の仕方は変わりますね。
「ここで働き続けたい」と思ってもらうためには「働いていて楽しい」と感じてもらえるような環境を整備しなければなりません。
「日々の営業で楽しく働いてもらえること」が、一番の退店防止策だと思います。
共通の想いを胸に込めた、チーム分業制を採用

―ATOM本店は、チーム分業制で運営しているとお聞きしました。
そうですね。「楽しさ」を重視しているので、チームの分け方はプレイヤー同士の相性で決めています。だから、チームの人数もバラバラです。
どのチームに入りたいのかについては僕が面談する場合もありますが、最近はプレイヤー自身が「このリーダーについていきたい」と希望するパターンが増えてきましたね。
―売上を伸ばすための施策として、チームバトルなどは行っていますか?
全くしていないですね。
ATOM本店は、本当にチームによって考え方やテーマが違うんです。
ただ、各チームリーダーには「より良いお店にしたい」という共通の想いがあります。
僕はそこさえ同じ方向を向いていれば、結果に至るまでのプロセスは違っていいと思うんですよ。
でも、この状態まで仕上げるのにはかなり苦労しましたね……3年はかかったと思います。
―チームメイトの「売上を伸ばすこと」がチームリーダーの主なミッションですか?
僕からチームリーダーに、売上に関する教育を求めたことはないかもしれません。
個人もそうですし、チームの売上ノルマも特に設けていませんね。
どちらかというと、チームメイトの「人間力を伸ばすこと」が主なミッションかなと思います。
―チーム分業制を始めたのは、約3年前とお聞きしています。
そうですね。
それまでのATOM本店はあまり良い状態とはいえなかったんですけど、マスター (店長)の存在が本当に大きかったです……。
マスターが多方面で調整を図ってくれて、僕にもすべての情報を共有してくれていました。
彼の存在がなければ、今のATOM本店はなかったかもしれませんね。
売上よりも顧客満足度を優先。日々の“ラスソン”が最強のイベント

―ATOM本店は「お酒が強くないプレイヤー」でも売れているケースがあるとお聞きしました。お酒が飲めない・強くないプレイヤーが売れるための秘訣はありますか?
目先の売上よりも「顧客満足度」を重視することじゃないでしょうか。
そこを意識することができれば、お客様は絶対に戻ってきてくれます。
お酒は楽しむためのツールというだけであって、たとえ単価が安かったとしても目の前のお客様を全力で楽しませるということが重要だと思いますね。
ただ、過去にはお酒を飲まなくても売れたプレイヤーはいましたが、現在ではお酒を飲むプレイヤーのほうが売れる確率は高くなっているかもしれません。
―ATOM本店は、バースデー以外にイベントを開催していないとお聞きしました。その理由と、イベントを開催せずとも売上が立つ要因について教えてください。
イベントを開催することで、一部のお客様には楽しんでいただけるかもしれません。
しかし、すべてのお客様に行き届いたサービスをイベント開催によって提供できるかというと、どうしても難しい部分があると思うんです。
その結果、お店全体の顧客満足度が下がってしまうかもしれないという懸念があるので、バースデー以外のイベントは基本的に行っていませんね。
その代わり、ATOM本店では「ラスソンの価値」を重視しています。
例えば、「ATOM本店で担当にラスソンを獲ってもらうことは簡単ではない」という認識がお客様やプレイヤー全員に浸透していけば、おのずと店舗のレベルは上がっていくと思うんですよ。
だから、「日々のラスソンを最強のイベントにしよう」と従業員には伝えています。
今後もATOM本店に来ていただいたお客様に満足いただけるよう、日々の営業を大切にしていきたいですね。
実力派揃いのATOM本店において、唯一無二の存在感を放つエグゼクティブプレイヤー・るるさん。プレイヤーとして圧倒的な結果を出し続けている一方で、チームを成功へと導くリーダーシップも兼ね備えた稀有な存在です。今回は、るるさんが日頃意識しているチーム教育のポイントや、ホストとして成功するための秘訣についてお話を伺いました。
怒ることはエネルギーの無駄。絶妙なバランス感覚で、時代に合った教育を展開
―チーム作りで心掛けていることを教えてください。
「仲良くなること」が一番大事ですね。
仲間と本音で語り合うことは、かなり重視しています。
―店外での交流も積極的に行っていますか?
そうですね。
普段、チームの子たちとは、僕がエグゼクティブプレイヤーだと思われないくらいの近い距離感で、仲の良いコミュニケーションをしています。
あと、本店のレクリエーションは営業以上にお酒を飲むことも多くて、そういった交流を通じてしっかり距離を縮めるようにしていますね。
―チームメイトに対して厳しく接することもありますか?
あまりないですけど、ときには厳しく接するときもあります。
ただ、怒るっていう行動にはあまり意味がないと思うんです。
エネルギーの無駄遣いですし、怒ることでポジティブな結果につながったことが少ないんですよ。
それに、従業員に怒ったことは自分も徹底しないといけないので、全く気が抜けなくなってしまうんですよね。
だから、怒るというよりは「そつなく注意する」というニュアンスで接するようにしています。
―デキる後輩を育てていくコツなどはありますか?
例えば、ヘルプにつくときは「担当の所作」や「場の空気感」を観察するように伝えていますね。
発言や身体の向き、目線など……成長につながるポイントはたくさんあります。
「こういう発言をしたら、こういう空気感になる」ということを観察して「いろいろな席で学んでいけば成長できるよ」と伝えていますね。
特に、僕は組数が多いのでお客様によって接客スタイルを柔軟に変えていく必要があります。
僕のチームが伸びている要因には「いろいろな席につくことでたくさんのお客様に接して対応力が向上しているから」という点もあると思いますね。
―逆に、ホストに共通していえるNGだと思うことはありますか?
「置物になること」ですね。
特に何も話さずに“ただ席に座っているだけでいい”という雰囲気を出しながら売れたホストを、僕は見たことがありません。
あと、お店の中でお客様と過度にイチャイチャするのも、個人的にはやめたほうがいいんじゃないかなと思います。
誰が見ているかわからない状況なので、他のお客様からの信用を失う原因にもつながりかねません。
個人的には「友達:恋愛=8:2」くらいのバランスがベストじゃないかなと思います。
チームの絆を深めることが、仕事の価値にもつながる

―数字を上げたいと思っている後輩にアドバイスしていることはありますか?
僕は「お店に馴染むこと」が重要だと伝えていますね。
お店に馴染めない人って、なかなか続かない傾向にあると思います。
それに、担当とヘルプの距離感が遠いと会話が盛り上がらないので、お客様からしても楽しくありません。
「担当と仲が良いヘルプの子が好き」というお客様も多くいらっしゃるので、仲良くなってお店に馴染むことは本当に重要だと思います。
あとは「自己アピール」も大切だと思いますね。
「今月は休んでないぞ」とか「初回を何個とったぞ」とか、どんどんアピールしていくことが重要です。
そのためにも、自分で目標を決めて有言実行する能力をつけさせるようにしていますね。
僕自身、目標を後輩の子達に与えるだけではなく、定期的に進捗管理も行っています。
足りない部分はどうしたら改善できるのか、一緒に振り返ってあげるようにしていますね。
―ATOM本店は数字にこだわるというより、楽しく働くことを重視しているとお聞きしました。
そうですね。
楽しく働くことは重要ですが、もちろん数字の管理もやっています。
それをやらないと、ただのお遊びクラブになってしまいますからね。
もしかしたら少し冷たく聞こえるかもしれませんが、僕のチームでは「頑張っていない子にはヘルプについてほしくない」ということも強く伝えています。
目標に向かって頑張っているプレイヤーからすると、どうしても嫌な気持ちになってしまうと思うんです。
だから仲良くすることは大切ですが、売上を伸ばすために努力することも重要ですね。
―チームによって教育方針が全く違うと聞いています。
そうですね。
ホストって最低限のアドバイスは必要ですが、ある程度自由にさせたほうが売上は伸びると思うんですよ。
あまりに縛ってしまうと、そのプレイヤーの色を変えすぎてしまうことにもつながるので……。
「良い部分を褒めること」と「目標を与えること」を意識すればいいと思います。
だから、チームの子とご飯に行くときは基本的に仕事の話はしません。
逆にプライベートのことをどんどん共有するようにしていて、それが仲の良さとしてお客様にも伝わるんですよ。
僕が席を立っている間に、ヘルプの子が僕とのプライベートな話題をお客様に話してくれたら「本当に仲良いんだな」って説得力を感じてもらえるじゃないですか。
ときには仕事の話をすることも大切ですが「プライベートも含めたチームの絆を深める=自ずと仕事の価値が高まる」という結果につながっていると思います。
売れる方法として一貫して伝えているのは「埋もれないこと」
―新人教育についてもお聞きしたいのですが、入店3か月未満の方にはどのように接していますか?
やっぱり、まずは「仲良くなること」ですね。
特に、1~3か月目は重要です。
お店に馴染めなかった場合、居場所を作るためには結果を出すしかなくなってしまうので、職場の環境に馴染んでもらえるように意識して接しています。
ホストとしての所作などを教えるというよりも「また働きたい」と思えるような環境を整えることが大切ですね。
―4か月~1年以内の方はどのように教育していますか?
一番大切なのは「埋もれないこと」ですね。
入店してから4か月~1年って、自分を新人売りすることもできませんし、次の新人も入ってくるので一番微妙な時期なんですよ。
そこで何か結果を出せないと、どんどん自己嫌悪に陥ってしまうんです。
だから、何かひとつ「他にはない、自分なりの自信を持てること」を見つけられるようにサポートしています。
あと、悩んでいる後輩には人間力を伸ばすためのアドバイスを中心にしています。ホストとして、人間として、その人独自の力で魅力的になることができたら、他のプレイヤーもなかなか真似できませんからね。
―素行が悪いプレイヤーに対してはどのように接していますか?
素行の悪いプレイヤーがいると、頑張っているプレイヤーのモチベーションが下がってしまいますよね。
だから「どんどん信頼を失って居場所がなくなるよ」ということは伝えるようにしています。
勤怠に関することでいうと、僕に対しては「嘘をついて休んでもいい」と言ってるんですよ。
その代わり、僕に嘘をついて休むことによって「自分に損害が発生するリスクはないのか」「自分が本当に納得できる理由なのか」を、しっかり考えてから連絡してほしいとも伝えています。
そうやって、素行の悪い後輩にも考える機会を与えることで、結果的に勤怠などの生活態度も良い方向に改善されていくケースもあるんです。
―辞めたいというプレイヤーが出てきた場合には、どのように手を差し伸べていますか?
2~3回は話を聞くようにしていますが、それ以降は聞かないようにしていますね。
辞めたいという言葉が出てきた時点で、本人の中ではもう答えが決まっていると思うんです。
それか、ただ構ってほしいだけというケースもあるので、2~3回話すことでどちらなのかを見極めています。
もしも本気で辞めたいのであれば、無理には引き止めませんが「いつでも帰ってきていいからね」とは伝えていますね。
―るるさんは様々な場面で絶妙なバランスの距離感や考え方を保つのが非常に上手い印象です。チームメイトの方々にとっても魅力的な環境でしょうね。
そう思ってもらえたら嬉しいですね。
ちなみに、2022年11月の売上ランキングは僕が1位だったんですけど、3位〜4位も僕のチームの子なんですよ。トップ5に3人、僕のチームからランクインしているのは、かなり強いと思います。
―SNSを活用することもやはり重要ですか?
Instagramのストーリーが特に重要だと思います。お客様とは、必ずインスタを交換するようにしていますね。
あと、ストーリーってLINEよりも気軽に見ることができるじゃないですか。
「飲みに行きたい」と思ったタイミングで店舗に向かっているストーリーが更新されていたら、そのストーリーに対してお客様は返信しやすいですよね。
だから、僕は時間を空けて1日に3回以上ストーリーを更新するようにしています。
―今何をしているのか、リアルタイムの情報を発信することが重要なんですね。
そうですね。
ホストは、何をしているのかわからないという状態が一番ダメなんです。
今の時代、本当にSNSはチカラだと思います。
名刺代わりみたいなものですね。
―将来的には、教育者としての立場に回りたいという考えもありますか?
そうですね。
プレイヤーとしての自分に納得のいく結果を出した後は、将来的には教育者へのシフトも良いのかもしれません。でも、今現在はプレイヤーの仕事を楽しみたいという気持ちの方が強いですね。
―るるさんみたいな存在になりたい場合、ブランディングのポイントはありますか?
まずは「組数をこなすこと」ですね。
いくらインプットしたとしても、アウトプットの場がなければ成長できません。
ホストは正解がない仕事なので、とにかく実践あるのみです。
そうやって後輩達が色々とトライした結果、改善すべき点については僕が直接指導しています。
ホストとしての所作もそうですが、LINEで送った絵文字ひとつまで、改善すべき点があれば指摘するようにしていますね。
―全体を通して「埋もれない」というキーワードが重要なのかなと感じました。
ホストをやっていたら絶対にそう思いますね。埋もれてしまう人は、なかなか売れません。
ホストをやるなら「お店の中で埋もれない」ということが、最も重要だと思っています。
アトム本店、Venus、ROYAL、札幌、名古屋といった数店舗の、内勤スタッフ全体を束ねるポジションの城山皓マネージャー。当初、居酒屋の仕事と兼任しながらボーイをつとめ、その後、アトムの内勤専任に。現在は、グループ全体を“縁の下の力持ち”として支える存在です。硬派な雰囲気ながら「コップ洗いが得意です!」と素敵な笑顔で語る城山さんの魅力にせまるべく、お話を聞きました。
スポットライトを浴びるホストたちを「輝かせる」というミッション。
──長年、内勤としてキャリアを積まれていますが、当時と現在で違いは感じますか?
当初、内勤はホストのサポート業務がメインで「いてくれたら助かる」という存在でしたが、現在は内勤のシステムが確立し、「いなければ困る」という存在になっていますね。内勤は、テレビでたとえるならば制作側。ホストが“タレント”としてキラキラと輝くために縁の下の力持ちとして支える仕事です。私の仕事は内勤全体をみる、マネージャーという立場ですが、「組織を引っ張る」のは各店の店長に任せ、サポート役に徹していますね。私自身、あまり上の立場からあれこれ指図されるのは好ましく思っていなかった経験があるので、ポイントは押さえつつ、基本的には自由を重んじています。また、店舗によって雰囲気やカラーが違うので、そこは臨機応変に対応していますね。
──現在の業務内容を教えてください。
一歩引いて俯瞰的に組織を見ながら、必要な時にサポートに入る、管理業務全般の補佐を担当しています。もともと現場が大好きなのですが、次世代の育成につながらない場合は、あまり出過ぎることがないように気を配っていますね。あとは、マンツーマンで従業員の相談にのる、メンタルケアに力を入れています。
──どのように、店長やお店を支えているのでしょうか?
優秀な店長たちばかりで、絶対的に信頼しています。アドバイスとして伝えるのは、「立場をはき違えた発言や行動はしてはいけない」ということ。たとえポジションが上でも、人間としてはフェアな関係なので。ただ、アトムの凄いところは「人間として嫌い」という人がゼロ。私からガミガミいうことはほとんどありませんね。
逆に、今の若い人たちは優秀で学ぶことが多く、新しく入ってくる従業員たちは、時代の最先端を走っています。グループとして、“トレンド”を取り入れつつ、アトムの“家族主義”のような文化も大切にしたいので、両立できる組織づくりに力を注いでいますね。

全員が自分らしく、のびのびと活躍できる組織づくりへ。
──内勤スタッフの特徴や、どんなタイプの方が活躍しているか教えてください。
初めの頃の内勤スタッフは、ホストたちのお世話を焼くお母さんのように動くタイプが多かったのですが、今はプレイヤーに対してしっかりと自分の意見を伝えたり、リーダーシップをとったりとサポートだけではない役割に切り替わってきたと思います。業務を通じて成功体験を積んでもらい、「話を聞くのが上手」「企画や制作が得意」という、それぞれの内勤スタッフが持つ強みを引き出せるマネジメントができるように、支援しています。
──理想としている、組織像はありますか?
縦社会的な組織は、私としては理想としていません。リーダーがひとりで引っ張っていくよりは、全員が自分の長所や強みを活かして、仕事を楽しめる組織が理想的ですね。みんなが、のびのびと自由に仕事を楽しめる環境を整え、締めるところはしっかり締めるのが、私のミッションのひとつだと考えています。そのためには、自分のことだけではなく、他者を尊重することが必要ですね。幸い、アトムはそうした人材が揃っているので、全員で理想に向かえる組織だと実感しています。
──従業員との関わり方で、特に心がけていることは?
細かいところですが、大切なのが「挨拶」ですね。タスクが多くなってくると、作業をしながら返事することもありますが、おざなりに返してしまうと、従業員たちが不安やストレスなどを感じることにつながります。特に、出勤して最初の挨拶は重要ですね。どんなに忙しくても、明るくハッキリと挨拶することを心がけています。たとえば、ワイヤレスイヤホンで誰かと通話している時の挨拶は要注意ですね。先日、北海道拠点の代表取締役のあゅむくんとご飯を食べている時、ちょうどその話になり共感しあいました。立場のある人間は、それに見合った態度が求められます。

アトムで変わったマインド。思考の軸は「相手がどう思うか?」で動くこと。
──プレイヤーと内勤スタッフの間でのエピソードを教えてください。
ある店舗で一気に内勤スタッフが増え、スタッフの経験値の少なさから、プレイヤーたちとの間にわだかまりが生まれてしまったことがありました。そこで行われたのが、連日の話し合い。「こうして欲しい」というプレイヤーたちと、「私たちはこう考えている」という内勤スタッフが、率直な意見をぶつけあいました。お互いが真剣に向き合った結果、今は抜群に仲が良く、連携をとりあって業務にあたっています。不満を溜め込むのではなく、お互いに感じていることや思っていることを、相手のことを考えながら「話し合う文化」が根付いているのはアトムの良いところだと思いますね。
──「この内勤スタッフは凄い!」という方はいますか?
全員、凄いと思いますね!たとえば、お客様のテーブルにホストを付ける業務を「付け回し」というのですが、お客様の属性やホストの特性のみならず、当日の店舗の状況をくみ取る必要があります。内勤は裏方ではありますが、結構高い能力が求められるんですよ。その「付け回し」を、私が入店した時とは比べ物にならないくらい忙しくなった店舗の中で、的確に遂行しているスタッフをみると、レベルの高さを感じますね。自分よりも凄いスタッフばかりです(笑)。
──今後のビジョンを教えてください。
アトムに加わってくれる人全員が、もっと幸せになるために努力するのが、私の仕事であり、ビジョンです。アトムに入り、色々経験させてもらっているので感謝しかありません。今は「相手がどう思うか?」を軸に考え、行動していますが、もともとそういうタイプだったわけではなく、アトムに入ってから変わりました。今、マネージャーという立場にあるのは、自分が凄いわけではなく、ひとえに周りのおかげです。目の前にある課題をひとつずつ解決しながら、組織全体を盛り上げていくため、日々頑張りたいと思います。
ホスト事業を軸に、ITや経営コンサルティング、不動産や飲食店といった多岐に渡るビジネスを展開する、株式会社ATMGホールディングス。今回は、“No.2”として、同ホールディングス及び、ホストクラブ事業の運営全般を管理する馬刺さんに取材しました。経営・財務戦略の立案から実行に携わる馬刺さんは、グループ内で「親みたいな人」と慕われる存在です。
アトム初期から一貫して、組織構築のための「人づくり」を担う。
──アトムに所属されたきっかけを教えてください。
修斗会長とは専門学校時代からの友人で、19歳の時一緒にホストもしていました。当時のホスト界は変わっていて、二人の源氏名は、修斗会長は淡路島出身だったので「たまねぎ」、私が熊本出身だから「馬刺」と名付けられました。本当に変わった店でフロアにはこたつがあり麻雀をして接客していました。その後、会長は道路公団に就職し、後に起業する為にホストを再開。私はそのお店を辞めた後土木作業員やスロット生活、全国の友人宅を泊まり歩くという旅生活などを経て、就職。携帯ショップやマッサージの会社で会社員をしていました。そんな時、修斗会長から「独立してホストクラブを出すから手伝って欲しい」と声がかかったのです。オープンして2,3年はお店をどうしていくのかで四苦八苦し、まとまってもいませんだした。それはそうです。22歳そこそこの若者同士が集まってひとつのお店をやっていくことは本当に大変でした。そんな中僕は色々な事が重なり、一度アトムから一年ほど離れています。その期間は大手家電量販店に就職していました。それでも当時のアトムメンバーとは何かと繋がっていましたね。お店の状況、悩み相談はずっと聞いていました。それからある時、修斗会長から話がきて、「お店を本気で立て直したいから戻ってきてくれ」という願いを聞き、裏方としてお店の経営にも関わり本気で取り組むようになりました。それから現在に至ります。
──以来、No.2として、創業者の修斗会長を支える存在ですね。
先ほど話した通り、創業期にありがちなことだと思うのですが、経営者である修斗会長の理念と従業員たちが噛み合っていない状態でした。それぞれ頑張っているのですが、努力の方向性が違っているなと。会長はカリスマ性があり、光り輝く未来を紡いでいくという思考の持ち主。筋の良いビジネス案を考えつくのも会長です。ただ、それをカタチにしていくには、組織をまとめる存在が必要で、戻ってからはそこを担おうと決意しました。ホストという業態は“人”そのものが財産なので、何よりも「人財育成」が大切です。そこで、皆の意識改革を最初に手掛けました。注力したのは「責任感を持ってもらうこと」でした。
──当時から今を振り返ると、どのような想いでしょうか?
戻った後は、時には会長とぶつかりながらも、ともすればワンマン型になりがちだった運営体制が改善していき、2年程で組織の軸はできたかと思います。その土台が、ホスト事業の全国拡大や、他の事業への展開などに繋がっています。ですが、いつの時代も変革や新しい取り組みは重要です。会長の時代の先を読む力やビジネスに対する勝負勘といった、鋭い嗅覚から生きています。特にここ2年は、外部から専門の知識を持ったプロ人材が参画し、当グループの起爆剤、潤滑油になっています。面白いのが元々人見知りだった会長が色んな逸材達と、飲み屋や人脈で繋がり、スカウトしていく手腕ですね。あの気力や体力、興味を持ったことに対する行動力には、いつも驚かされますね。

“人”という財産を育成し、グループ全体を成長に導く。
──次世代を見据え、人材を育成していると聞きました。
現在、試みているのが、私が手掛けてきた「人材育成」をさらに発展させ、組織全体で「本当の意味での成長」を促進すること。次世代を担う人材を育成する、“仕組み”を構築することです。「本当の意味での成長」とは、営業成績だけを追求するような、利益のみにとらわれるのではなく、利他の精神を持ち、素直に学び、常に人の成長を願うことができるようなマインドと、それを実行できる組織になること。難しいところですが、指南役になり、仕掛けていきたいですね。そのために、評価基準の見直しや、制度設計にも手を加えていく必要があると思います。
──育成された人材が、事業を生み出す核になると?
見せかけだけではなく、本質的な能力を身に付けると、アイデアを絞り出したり、それをカタチにするための胆力や決断力が磨かれたりといった、総合力を手にすることができます。それはすなわち、“経営脳”への進化です。経営脳を得た彼らが、既存事業の経営サイドに回ったり、新しいビジネスを考えて、ホールディングスのグループ会社として起業するなど、個々の成長がグループの成長に直結します。
若い子たちから出されるアイデアは斬新で、舌を巻くことが多いです。自分が20代の頃に出なかったような、創造性にあふれています。それを汲み取り、私が培ってきたノウハウを伝えてカタチにしたり、運営や改善に活かしたりするのが楽しいですね。
──成長を促すと共に、メンタルケアの達人とも聞いています。
それはちょっと前の話で、今はケアはほとんど運営陣に任せています。その中でキーマンになるであろう人達にはケアに留まるのではなく、自立心、本当の意味での大人になることを促す方向に話をすることがあります。単純に、マンツーマンで精神を立て直すのは、絆創膏を貼るようなもので、応急処置にしか過ぎません。大切なのは、「なぜそうなったのか?」を深掘りし、自分を俯瞰で捉えて観察し改善していくような思考力。人間はどうしても、最終的に「自分が正しい」と思いがちな生物です。しかし、それでは思考がストップしてしまいます。だから今は、視野を広げるためのエッセンスを示唆し、「客観的な気付き」に導くことを心掛けていますね。私自身、若いメンバーから新しい気付きを得ることも多いですよ。
ホスト事業のさらなる成長と、ホールディングス全体の未来に向けて。
──今、ホスト業界全体が、盛り上がっているように感じます。
有名なホストたちが、メディアやSNSで取り上げられることも増え、エンターテインメントとして「ホスト」という仕事は、以前と比べるとずいぶん世間から認知されるようになりました。お客様にとっても、プレイヤーを目指す男性にとってもホストクラブに対する敷居が下がり間口が広がったと思います。ただ一方で、一般企業のような社会的信用があるかと言われると、まだまだというのが現実です。だから、まずは「アトムグループのホストなら大丈夫」と言われるようなブランディングを、さらに推進したいですね。
──ホールディングスとして、ホストのセカンドキャリアをサポートしておられますね。
先述した「人材育成」は、グループ全体の将来にも大きく関わってきます。既にATMGホールディングスとして、ホスト事業で培った知見やノウハウを活かせる、飲食店の運営や、時代のニーズにマッチしたIT事業、SNS運用をはじめとした広告宣伝事業などを手掛けています。しかし、拡大と多角化に伴い、お客様やステークホルダーから求められる満足度や要件も高くなってきています。当然、経営の難易度も上昇するので、組織を“器”として支えてくれる人材の育成は、最も優先すべきことなのです。
全国に14店舗を展開するアトムグループにおいて、大阪ミナミで快進撃を続けている「ATOM-ROYAL-」。そんなATOM-ROYAL-で代表取締役を務める夢來さんは、元料理人という異色の経歴を持ちながら、売上・組数ともに圧倒的な結果を出し続けています。今回はATOM-ROYAL-代表取締役である夢來さんに、売上・組数を増やすための秘訣や、店づくりで重視しているポイントなどについてお話を伺いました。
売上だけでなく、組数も伴った理想のホストになるために

―売れるプレイヤーになるための秘訣やコツがあれば教えてください。
まず「続けること」ですね。
それと「どれだけ従業員と密な関係性を築けているか」という点も大切だと思います。
僕が目指しているホスト像としては、売上だけでなく「組数の多さ」も重要で。
ただ、お店の中だけでお客様満足度を100%にすることって難しいと思うんですよ。
だから売上と組数どっちも伸ばすためには、店外で従業員がお客様と一緒にいてくれたり、連絡をとってくれたりすることが必要不可欠なんです。
従業員にお客様の対応を頼んだときに「夢來さんなら協力したい」と思ってもらえるような関係性を築けていなかったら、僕はここまでの結果を残せていないと思います。
―夢來さんが思う「このプレイヤーは成長するな」というポイントはありますか?
「言われたことをすぐやるかどうか」という部分じゃないですかね。
“スピード感”と“持続性”は、成長するために重要な要素だと思います。
逆に、できなかった理由について言い訳する人はなかなか成長できないだろうなって思ってしまいますね。
―組数を増やすための秘訣はありますか?
「マメさ」に尽きると思います。
相手のスケジュールに合わせた時間の使い方とかもそうですけど「SNSを駆使した見せ方」は重要だと思います。
この見せ方に関しては、前代表の大夢さんからめちゃくちゃ学びましたね。
例えば、会議している際など多忙なときにはきちんとその雰囲気が伝わるストーリーを事前にアップしておくとか……。
「これだけ忙しい中で、あなたに時間を使っているんだよ」という付加価値をつけられるように意識しました。
そうすると、自然と組数は伸びていきましたね。
これって、特に時間の使い方が上手いとかではないんですよ。
むしろ自分の時間は十分確保できています。
ただ、僕は人よりも携帯を触っている時間がすごく長いと思います。
―組数を伸ばしたいのであれば、むしろ会っていない時間のブランディングのほうが重要ということですね。
そうですね。
お店の外で会うことばかりに重点を置くと、体がしんどくなってしまったり、途中で心が折れてしまったり……いずれ限界がきてしまいます。
僕は去年組数1位をとらせていただき、今年も組数1位を目指しているので「店外でめちゃくちゃ動いているんだろうな」と思われているかもしれませんが、全然そんなことないんですよ。
新規の方からの問い合わせも、インスタから来ることが多いです。
それに、組数が多いプレイヤーがSNSをほとんど更新していなかったら「これだけ組数も多いから、今は別の女の子といるんだろうな」とお客様から勘繰られてしまっても仕方がないですよね。
インスタであればストーリーなど、なるべくリアルタイムの行動がわかるようにSNSを駆使していくことが重要です。
―夢來さんの目標は「年間売上1億円」と「年間組数1位」だと聞いています。目標に向かう姿勢を継続するには何が必要だと思いますか?
「周りの人にその目標を宣言すること」ですね。
自分が忘れようとしても忘れられないくらい、目標を言い続けることが大事かなと思います。
「言霊(ことだま)力」ともいえますね。
―現在ATOM-ROYAL-の代表取締役として活躍されていますが、その先のビジョンはありますか?
去年、大夢代表のときに店舗売上でグループ1位をとらせていただいたので、その位置にまずは返り咲きたいと思っています。
―店舗売上でグループ1位を目指しているということであれば、重視しているのは「店づくり」という部分になると思います。店づくりで重要なポイントはありますか?
重要なのはコミュニケーションなのですが、まさに最近痛感したことがあって……。
幹部を含め、従業員とコミュニケーションをとる時間をすごく増やしたんです。
ただ、イマイチ言葉が響いてないというか……どうしたらいいんだろうってずっと悩んでいて。
そこで、あらためて自分の言動を振り返ってみると「代表取締役だから業務として従業員とのコミュニケーションを行っている」という部分が、少なからずあったんじゃないかと考えたんです。
その後、ある従業員から「夢來さんが涙を流しながら熱く話してくれた言葉が、すごく嬉しかったです」と言われたことがあって、その言葉にハッとさせられました。
自分はその瞬間は確かに、心を震わせてコミュニケーションをしていたんだな、と。じゃあ、今はどうかなと振り返りました。
「ここ最近、愛情を持って授業員に接していたのか?」「従業員のことを心から想う気持ちはあったのか?」と考えたときに、“ただただ業務としてお店を良くするためだけのコミュニケーション”を行ってしまっていたことを痛感したんです。
ただ従業員との時間をとればいいわけではなく「心の通った本質的なコミュニケーション」が重要なんだなということを学びましたね。
―そのほかに店づくりで重視していることはありますか?
将来的には「ミナミで一番のお店にする」という目標があり、そこに至るために、半年ベースくらいの目標(スローガン)を設定しています。
設定した目標は朝礼・終礼で確認し、全員が同じ方向を向いている状態にできるよう意識していますね。
オールラウンダーなホスト能力で、従業員に希望を与える存在

―ATOM-VENUS-との分店を経ても、売上が落ちていないと聞いています。この分店という問題はどのように乗り越えてきましたか?
まず分店したタイミングで、幹部陣には「このままだとROYAL潰れるよ」と緊張感を持たせるような発言をすることで、意識改革を図りました。
そして、幹部陣にそこまで言うからには自分も背中を見せなければならないので、今まで以上に売上・組数を増やすことを意識しましたね。
分店によって幹部陣や中堅メンバーがいなくなると、ヘルプ力などが落ちることはどうしても避けられません。
そんな状態でも自分が売上・組数を増やすことで、みんなに希望を見せられるよう動いていました。
―アトムグループ内で店舗売上1位を目指しているとのことでしたが、1位に返り咲くための具体的な施策はありますか?
今はまだ、全員が同じ方向を向くことができていないと感じている部分もあるので、そこをまず改善できるようにビジョンの共有を徹底していきたいですね。
あと、僕が幹部メンバーにストイックさを求めすぎたせいもあると思うんですけど「楽しく仕事する」という根本的なマインドを忘れている子が多かったんです。
もちろんメリハリは大事ですけど、そもそも楽しく働けていなかったら目標にも近づけないと思うんですよね。
だから今は、目標を達成するためにベースの作り直しから着手しているという状況です。
―前代表の大夢さんは偉大な存在だったと思いますが、次の時代を担っていく立場としてはどういう心境でしたか?
当初は「大夢くんが打ち立てた記録を超えないといけない」という想いが強くありましたね……。
ただ、今はそこまで意識していなくて、良い意味で呪縛から解放された感覚はあります。
今は大夢くんの背中を追うことよりも、目の前のやるべきことに注力している感じですね。
―SNSの使い方で参考にしているアカウントはありますか?
僕は、大夢くんがプレイヤー時代にあげていたInstagramのストーリー投稿をすごく参考にしていましたね。
僕から見ても「この人忙しいんだろうな」と思わされるような内容だったので……。
だから、今SNSの使い方に迷っているという人は僕のアカウントをチェックしてほしいですね。
そうすれば、売上・組数をどうやって増やしているのかがわかると思います。
―接客において特に意識しているポイントはありますか?
感謝の気持ちを持つことはもちろんですが「自分が商品である」ということを理解する必要があると思います。
そこを意識できていない子は、売れていないイメージですね。
自分が商品であるということを理解し、セルフブランディングしていくことが重要です。
あとは、自分の中で「どれだけ接客パターンを持っているか」が鍵になってきますね。
―接客力を高めるためにやっていることはありますか?
飲食店とかに行ったときに、スタッフの接客をめちゃくちゃ観察するようにしていますね。
高級なお店に行き、一流のサービスを体感することも良い勉強になると思いますよ。
―そのほかに、従業員にいつも伝えていることはありますか?
僕はいつも「幹部給って、なぜ出てるか知ってる?」と従業員に聞くんです。
そうすると、ほとんどの子は「幹部会議があるから」とか「幹部の方々にしかできない仕事があるから」と答えます。
たしかにそれもあるんですけど、幹部給が出ている主な理由のひとつには「部下がミスをしたときに代わりに頭を下げる役目もある」と僕は思っています。
だから、従業員には「僕ら幹部を給料泥棒にさせないためにも、ミスを恐れず、どんどんチャレンジしてほしい、いつでもミスのカバーはするから!」ということを常に伝えていますね。
「ホストの裏側」で独自の視点でバズるTikTokやYou Tubeで人気を獲得している、「ひろむん代表」。大阪ミナミで2店舗のプロデューサーを勤める大夢さんが統率し、マネージャーのりくさんが脇を固めるチームです。今回は、その「裏側の裏側」を探るべく、独自に取材を敢行しました!
将来を見据え、重視したのは「知名度を上げること」。
──ひろむん代表として、活動を始めたきっかけは?
大夢 大学院に通いながら、ホストのプレイヤーとして結果も残していましたが、将来的には、次の展開が必要だとずっと考えていました。どんなビジネスをやるにしても「自らの知名度を上げることを、最優先すべきだ」と。その手段としてTikTokをスタート。さらにYou Tubeも始めました。事業に必要な人材として、「僕のマネージャーをして欲しい」と、見た目やキャラ、声質や相性などを総合的に鑑みて、大学時代の友人のりくをスカウトしましたね。
──相当仲が良かったんですね!
りく 実は、それほどでも無くて(笑)。タバコ部屋で、一緒になった時に話をするくらいの関係性でした。でも、同じ工学部の中でも人を統率するのが上手だったり、ホストとして既に高い人気を得て稼いでいたりしていたので、一目置かれている存在でしたね。だから、声をかけてもらった時、ちょうど進路で悩んでいたこともあり、「ぜひ」とOKしました。
──動画投稿を始めてから苦労はありましたか。
大夢 業者を入れず全部自分たちで、お金は一切かけずにスタートしました。企画とキャスティング、カメラ指導を僕がやっています。自分で脚本を書いて撮影するのが7割、3割はリアルタイムの撮影です。中でも苦労しているのは、キャスティングですね。自分の書いた脚本にマッチする演者にお願いするのはもちろん、ボーイにもカメラマンをお願いしています。そのスケジュール調整が大変です。
人気が出たのはTikTokでバズってからです。始めて半年でフォロワーが8万人なので、順調な滑り出しですね。ここ最近の再生数は、アベレージで100万回といったところ。ただ、正直なところ驚きは無いです。戦略通り、キレイに進んでいるだけなので(笑)。
──りくさんは、出演と編集にも関わっておられますね。
りく 音声の編集などを担当しています。やったことのない業務でしたが、元々嫌いでは無かったので、すんなりと取り組めています。最初から携わる中で、伸び悩むタイミングもありましたが、結果として大夢さんが、「こうなるよ」と想定していた通りの結果になっているので、「凄いな」の一言につきますね。
動画の1分1秒も妥協しない。先を見据えた動画の戦略。

──もともと映像に興味があったのですか?
大夢 全く無かったんですよ(笑)。あくまでも、知名度を上げ、自分のファンを持つことが目的で、その手段として映像をしているだけですね。ただ、事前に徹底してトレンドなどをリサーチしていました。それで誰も手を付けていない「ホスト密着、裏側」という領域を見つけ出し、狙いを定めました。
ただ、裏側のさらに裏側なのですが、チャンネルではなく、「個人のファン」になってもらうには、「ドキュメンタリー」だけではダメなんです。ドキュメンタリータッチの動画の後には、僕たちの違う一面を知ってもらうために可愛げのある動画を入れるようにしています。
りく 実際に起こったことを脚色したりしながら、とにかく全てがきめ細かくストーリー仕立てで演出が成されています。たまに、僕からネタ出しをすることもありますが、まだ採用されていないですね(笑)。
──常に先を見据え、先手をうっているんですね。
大夢 確かに、「どんなコメントが来るか」なども、全部先にわかっているので、先回りして動いていますね。アイデアの源泉は直感です。「これはバズるぞ!」というアイデアが頭に湧き出てくるので、そのイメージ通りにドラマに仕上げていきます。脚本はセリフの一言一句を全部ノートに書き起こし、演じてもらいますね。僕の中には絵が鮮明に浮かんでいるで、たとえば相槌の「うん」という言葉のイントネーションに到るまで、微細に演出。思った通りの映像になるまで撮影を続けるので、TikTok1分の映像を制作するのに、だいたい1時間くらいはかけていますね。
夢を夢では終わらせない。ゴールを逆算して実現へ。

──将来に向けての夢や想いは?
大夢 自分でもちょっと引くんですけど、小学生の卒業文集の“将来の夢”のページに「年収1億円」って書いてたんですよ。周りは「サッカー選手」とか書いてる中で(笑)。大金持ちになりたいという想いはずっとブレることなく、今は逆算して人生の駒を進めている感じですね。TikTokもYou Tubeも、いずれは知名度を武器にして企業案件にするなど、フォロワーに喜んでもらえるようなビジネスにする構想なので、通過点にしか過ぎません。お金を生み出す仕組みづくりを考え、行動するのが今の僕のミッションですね。将来的には仕事をしたく無い(笑)。今は死ぬ気で頑張って、ゆくゆくは田舎でゆっくり過ごすのが夢ですね。今のところ、30歳には表立った活動からは抜け出す算段です。
りく 僕は30歳でリタイアするまでのスキルは付いてないと思います。大夢さんから学びつつ、後ろをついていきたい。将来のビジョンは、まだ描ききれてはいないですね。
大夢 りくの、「我の無さ」がこのチームの肝なんですよ。柔軟性を持って対応してくれるんです。僕自身、「自分の作戦が一番だ」と思っているタイプなので、助かります。
りく サポートする僕からすると、大夢さんは常に結果を残しているので「付いていこう」という気持ちになりますね。
大夢 正直なところ、僕は末っ子でめちゃめちゃ自分勝手なんですよ(笑)。ただ、わがままなことを自己分析出来ているので、その部分を「可愛げ」として出す、みたいなことには長けているんです。特に昔から、年上の方には好かれていましたね。
──最後に、大夢さんが「戦略通りに行動し、失敗しない理由」の秘訣を、教えてください!
大夢 完全に直感人間なので、頭の中にイメージは浮かぶのですが、言語化するのは本当に難しい(笑)。意識していることで言うと、「勝てない試合には出ない」ことと「あらゆるリスクを想定して、ヘッジする」ことでしょうか。工学部に入学した時も、優秀な同級生たちを見て「あ、ここは戦う場所では無いな」と。みんな負けるフィールドなのに、変に粘っちゃうから時間が取られて、夢が遠のくことになると思うんですよ。大学と大学院もホストとして働くためのブランディングのひとつでしたが、ホストをしながら休学も留年もせずに、奨学金も全額返済して卒業しましたよ。
アイデアが浮かんだら、人に相談とかはせず、とにかく考え続けます。外に出す時は、ほぼ決まった状態でアウトプットしてますね。思考の末「こうしたら、こうなるはず」という先の一手が見えているので、あとは実行するだけですね。たとえば今やっていることを、少しだけ種明かしするなら、「知名度を上げて、スキルのある人や企業などが向こうから来てくれる状態」をメイキングしてるだけなんです。様々なことに挑戦できる体制を整えるため、自分ができないことをやってくれる「人や企業」を集める仕組みを、現在構築中なんですよ。