人気の記事
「仲間を守る、店(家族)を創る」 ATOM -ALLES- 龍の破天荒ホストからの成長ストーリーとは?
ホストとしての成功、ATOM -ROYAL- 時代の移籍騒動、新店舗ATOM -ALLES- の立ち上げ、独自のSNS戦略、「家族」を作るマネジメント哲学──。激動のキャリアを駆け抜けてきた龍さんは、今日も“仲間”と“店”の未来のために向き合い続けています。
本稿では、10月ピックアッププレイヤーに選ばれた「緋咲 龍さん」の心のうちの普段は語られない背景や葛藤、そして2026年に向けたATOM -ALLES- の構想まで、余すことなく語ってもらいました。
緋咲 龍:Instagram
https://www.instagram.com/alles_ryu/
緋咲 龍:ホスホス
https://www.host2.jp/shop/atomalles/ryu/
製造業の営業職から未経験ホストへ?!意外な前職とは
──ホストを始めたきっかけは?前職では何をしていましたか?
僕はもともと、製造業の家族経営の会社で営業をしていました。電子部品や工業系の商材を扱っていたので、図面を読んだり作ったりもできます。
もともと中卒で、SE(プログラミング)をしていた時期もあって、そこで知り合った方に引き抜かれて営業職に入りました。
ただ、その会社に社長の親族が入ってきたタイミングで一気に合わなくなってしまって。自分も頑張って合わせようとはしましたけど、どうしても無理で。
ちょうど昼職を辞めようと思っていた時に、友人からホストの世界を紹介されて、「お金を稼ぎたい」「将来起業したい」という気持ちが背中を押して、ATOM -ROYAL- に入店しました。
──ATOM -ROYAL- に入って最初の頃はどうでしたか?
最初は本当にホスト業界のことを何も知らなくて、「ホストってどんな仕事なんやろ」という感じでした。
ATOM -ROYAL- に紹介してくれた友人を驚かそうと思って、初出勤の当日、連絡せずに現場にいてやろうと思ったんですが、ATOM -ROYAL- じゃなくて間違って梅田のATOM -UMEDA- に初出勤してしまう、という珍事もありましたね(笑)。
入店した当初は、昼職の税金が払えなくて…かなり高収入だったのですが、家族への仕送りなどに還元していたら手元のお金が無くなりました(笑)。そのため、上の方に土下座して「絶対返します」って借用をお願いしたこともあります。
とにかく、入店してしばらくはお客様もつかず、お金は本当にカツカツで、給料日前は焼きそばを買って、ふやかして2〜3日で分けて食べるような生活でした。それでも「売れるために必要な投資」は絶対に削らなくて、初回用の服を買ったり、清潔感を保ったり、見た目に関しては頑張っていました。
半年くらいしてようやく初めて売上が大台を越えて、そこからは落ちずに積み重ねていけるようになりました。
苦労を重ねた下積み時代…破天荒ホスト、移籍騒動の全容

──ATOM -ROYAL- 時代はどんなホストでしたか?
ATOM -ROYAL- では中堅どころの役割までは経験しました。運営はやらずに中堅止まりだったんですが、理由は人間性の部分で「まだ自分には足りない」と思っていたからです。
当時はとにかくチームを大事にしていて、ATOM -ROYAL- のキャスト30人中15人ぐらいが僕のチームでした。売上が立たずに後がない子も多かったので、僕が全部見る、全部抱えるという状態でした。ホストを始めた頃の自分と同じ境遇で頑張っている子を見ると放っておけなかったんです。
当時のホストとしての売り方は、いわゆる“ごりごり営業”。とにかくお客様に時間を使って、限界まで飲酒を頑張るタイプでした。24時間は無理ですけど、飲食店でのアフターや、お客様が満足するまで徹底的に向き合っていました。初期の僕が「破天荒ホスト」と言われたきっかけですね。ちなみに今は、破天荒さは全くありません(笑)!
──ひろむんYouTubeで2年前に話題になった“移籍騒動”について、当時の本音を教えてください。
あの件については、改めて、大変お騒がせしました!
破天荒ホスト 龍が巻き起こす波乱再生リスト
https://youtube.com/playlist?list=PLOOM_zSrPsCF87dJ5BncMHHJTuCV9c430&si=KNoFmnzSj4NlZIzI
今になって話せることですが、僕自身はATOM -ROYAL- に不満があったわけではありませんでした。むしろ自由にさせてもらっていたし、楽しくやらせてもらっていました。
でも、その時期に僕のチームの子達が次々と「辞めたい」と言い出したんです。ATOM -ROYAL- 全体の環境変化もあって、10人近くが移籍に揺れていました。今になって思えばひとりよがりな考え方ですが、僕自身が、その子達全員を責任持って入店させ、育ててきた背景もありました。
お世話になったATOM -ROYAL- と、自分が目をかけていたキャスト達…どちらを味方するのか…かなりの葛藤がありましたが、天秤にかけた時、当時の僕は最終的に従業員達の想いを選びました。当時は「彼らの願いを叶えてあげたい」という気持ちがすべてでしたね。
そして、移籍騒動がYouTube含めて明るみに出た時には、“全部自分で責任を取る”という選択を取りました。自分が悪者になることで、下の子達を守れるならそれでいいと思っていました。
その後、僕の謝罪を受け入れてくださったATOMグループ上層部の皆さんの懐の深さを知って、大きく反省することになります。
──移籍騒動の後、なぜATOM -ROYAL- で再び頑張ろうと思えたんですか?
正直、最初は「また0から頑張ろう」という気持ちよりも、“面倒を見ていた下の子達がATOM -ROYAL- に残ると決めたことへの心配”の方が強かったです。彼らを置いて僕が抜けたら責任放棄ですし、彼らが僕自身の起こした移籍騒動の煽りで、居心地悪い中で残るのも申し訳ないと思いました。
そんな時にひろむさんから、「根までお前の人生を面倒見るから」と言われて、本当に刺さりました。この人についていく覚悟が固まりました。
先輩を立てる想いと葛藤…兄として慕う夢來との関係について

── ATOM -ROYAL- 時代、ひろむんの後を継いだ「夢來」との関係はどんなものでしたか?
最初は本当に全然喋れませんでした。夢來さんは上司で、僕はまだ売れていない後輩という立場だったので、当時のATOM -ROYAL- の「数字が全て」という世界観の中では、売れてない自分から売れている先輩に話しかけるなんて“時間泥棒”だと思っていました。
僕自身が古い考えの人間だったんですよ。「売れてない奴が売れている人に話しかけるのは失礼。数字を出してから喋れ」、そういう価値観で動いていたので、そもそも絡みに行くこともなかったし、自然と距離があったんです。
でも、僕が売上を上げるようになったあたりで関係が少しずつ変わり始めました。そのタイミングで役割もいただき、ようやく“数字の土俵に立てた”という感覚がありました。そこから夢來さんも認めてくれるようになって、徐々に会話も増えていきましたね。
──夢來さんとは“どんな関係性”だったんですか?
対等という感じでは全くないです。本当に“二番手として支える”という立ち位置でした。
ATOM -ROYAL- の時代、僕は心の底から「この人のビジネスを支える人間になろう」と思っていました。頼まれたわけでもなく、自分の中で勝手に決めていました。
実際、当時の僕は夢來さんに対して「この人が来なくなったら悲しい」と思えるほど、精神的に依存していた部分もあったと思います。“上司”であり“兄貴”であり、“目指すべき背中”でした。
──移籍騒動の時、夢來さんへの気持ちはどうでしたか?
正直、夢來さんとひろむさんには本当に申し訳なかったです。天秤にかけたわけじゃないんですけど、当時は相談すらできませんでした。
移籍騒動が収まった後、夢來さんは僕のことが嫌いになってもおかしくない状況だったはずなのに、そんな素振りは一切見せず、本当に変わらず接してくれました。腹が立ってもおかしくないのに、ずっと絡んでくれた。その接し方に“人としての凄さ”を強く感じました。
移籍騒動の期間は、人生で一番悩んだ時間です。本当はATOM -ROYAL- にいたかったし、夢來さんの横で働きたかった。でも、「下の子達のために動くしかない!」という決死の思い込みがありましたね。「十字架を背負うのは自分しかいない」……そう思って、全て自分で責任を取るという形にしました。
──現在、夢來さんとの関係はどうですか?
夢來さんにはATOM -ALLES- の店の運営に関する相談は一切していません。夢來さん・ひろむさんの“荷物”になりたくないし、自走するまでは甘えちゃいけないと思っています。
今は「結果を出して、いつか胸を張って話せるようになりたい」という気持ちの方が強いです。ひろむさんが“父”なら、夢來さんは僕にとって“兄貴”のような存在です。
だからこそ、僕は今、任された新店舗で“自分が父になって家族を作る”という役割を果たしているんだと思います。
──当時、夢來さんから受けた影響は、今のATOM -ALLES- の運営にも活きていますか?
めちゃくちゃ活きています。
夢來さんも、ひろむさんも、どれだけ傷ついても、どれだけ裏切られても、最後まで“人間の可能性を諦めない”人たちです。その姿勢を間近で見てきたから、僕も「仲間を見捨てない」「全員で勝つ」という価値観が染みつきました。
だからATOM -ALLES- では、僕のことを強く信じてくれる子達を“弟”のように見ています。「将来どうしたい?」と聞いたら「龍君と一緒に居たい」と言ってくれる。それはあの人達から受け継いだ“家族主義”の文化なんだと思います。
新店舗ATOM -ALLES- 立ち上げを任された流れと独自の「家族主義」

──ATOM -ALLES- を任された背景は?
「お前の尻拭いは、掃除でも金稼ぎでもない。新しい店舗を作ることで責任を果たせ」、ひろむさんからそう言われて、ATOM -ALLES- の指揮を任されました。お店のスタートは4店舗合同で、梅田管轄だったUNITE・VENUS・PLACEのキャストも混ざった状態でした。
風営法改正後の今のご時世ではもう打ち出すことは難しいですが…立ち上げ当初に「売上市場主義」を掲げていたのは、自分が当時プレイヤーとして売上主義だったこともあり、数字を追う方が、組織づくりがしやすいと思ったからです。ただ、風営法改正されてからは考え方を根本的に改めています。
── 風営法改正後、現在のATOM -ALLES- の経営で最も大切にしていることは?
もちろん、お店のキャスト達はお客様との時間を何よりも大切にしていますが、お店を経営する僕自身は、“従業員と過ごす時間を最優先”に考えていますね。
僕のお客様には、正直に「ごめんなさい、お店と従業員を最優先して動いていきます」と伝えています。その分、お店と従業員を必ず守るという強い覚悟があります。
従業員達も、ひとりよがりな売上の上げ方をするのではなく、皆で協力してお店の売上を上げていく文化があるので、“家族主義”が確実に根付いています。多くのホストクラブが完全個人主義な中、ATOM -ALLES- はかなり特殊だと思います。
様々な施策を掲げ、少数精鋭で全員が幸せになるお店を作る意気込み
── SNS、特にTikTokが強いですが、意識していることは?
龍のTikTokアカウント(お魚チンパンジー)
https://www.tiktok.com/@ryualles
僕は、ひろむさんのYouTubeとは違って“お茶の間層”を狙えないと思っています。そこはひろむさんの影響力が強すぎるし、もう取り尽くしている。だから僕は完全に“ホストクラブに通うことを前提としているお客様”に刺さるコンテンツを狙っています。
「お魚チンパンジー」名義のアカウントは、最初は遊びで作ったものがたまたま伸びて、今では、グループの制作部の協力をしてもらいながら、来店動機の主要導線になっています。最近は、「TikTok見ました」と言ってくださるお客様が本当に多いです。
フォロワーが大台を超えたら店アカウントに切り替えて、ATOM -ALLES- のメンバーを売り出していきたいと思っています。
──「プレイヤー内勤」という新しい仕組みを始めようとしている理由は?
グループでも新しい試みになると思いますが、プレイヤーと内勤を兼任できる形をつくりたいと思っています。売れていない子や若手がドリンク提供・席案内・初回対応もできるようにするモデルです。
理由は、「少数精鋭で全員が売れる店にしたい」、「昔のホストは全員が“できて当たり前”だった全員接客の原点回帰」などが挙げられます。Z世代に合わせるのではなく、Z世代を“ホストとして育てる”方向に振りたいんです。
──部下の育成で大切にしていることは?
“私生活から管理すること”です。何時に起きて、どう動いて、今日は何をするのかまでLINEで確認します。だらしない人間には女の子もついてこないし、売れません。ホスト以前に“人として整えること”を徹底しています。
僕が育てたいのは、たとえATOM -ALLES- を出ても生きていける人間です。
人を口説ける、チームをまとめられる、責任感がある、そういった能力はホスト以外の業界でも役立ちます。自立したホストを育てて、将来は自分たちでバーや経営に挑戦してほしいと思っています。
──今後、ATOMグループに移籍を考えているホストや、未経験で悩んでいる子達に向けてのメッセージは?
ホスト未経験の子には、「覚悟だけ決めて来てください」と伝えたいです。ホストとして、人としてあるべき形を、私生活から、行動から、考え方から、全てを教えるので、ついてきてくれたら一生面倒見るつもりで関わります。
ホスト経験のある移籍者に関しては、「とにかくお金を稼ぐことに挑戦したい、完成された環境を探しているならATOM -ROYAL- へどうぞ」と正直に言っています(笑)。
ATOM -ALLES- は立ち上げ以来、一度も赤字を出したことがないとはいえ、まだまだ新規店舗なので発展途上です。でも、「将来を一緒に作りたい」「家族になりたい」と言ってくれるなら、ATOM -ALLES- に来てほしい。お金の繋がりだけでは得られない、濃い関係を共に築きたいと思っています。
PICK UP
CATEGORY