現在、グループ管理・監査としてATOMグループの運営に携わっている「九路。わっさん」。達観した考えと本質を突いた発想で、常にATOMグループを牽引してくれています。今回は、ATOM -ROYAL- 店長就任からグループ管理・監査への就任に至るまで、新たな挑戦や今後の展望について伺いました。
九路。わっさん(グループ管理・監査)
着実なステップアップの裏にあった、思惑と苦悩。
——ROYALの店長、マネージャーから、現在のグループ管理・監査となった経緯を教えてください。
九路。わっさん(以下、わっさん):店長に就任する前、僕は内勤をしていました。その当時ひろむはすでに代表だったので、ひろむに追いつくことが第一タスクと考えていたんです。僕が中心となってまずはROYALを牽引することを目指し、後にATOMグループを牽引することを目標にしていました。
時を経て2020年12月に店長に就任したときは、スタートラインに立ったと思いましたね。ATOMグループを牽引するには、グループ内でROYALを圧倒的1位にすることが重要だと考え、結果を出すことに取り組みました。これが店長としての最初の大きな業務です。そして2021年に、年間売り上げがグループ内1位となりました。
年間売り上げグループ内1位を最速で達成したことで、本店が築いた2016〜2017年度のグループ内1位の実績を上回る歴史を作れたと思ったのですが、それだけでは僕が思っていた成果には繋がりませんでした。
上層部がROYALのことを優遇はしてくれるんですが、そこで止まっているなと感じていました。2020年頃は、高い成果を出す店舗を1店舗作るよりも、どれだけ多くの数の店舗をマネジメントできるかが、組織内では重要視されていた時代でした。僕はこれに納得がいかず、歯がゆい思いをしていました。
ただ、現状から飛躍していくには、グループの方針に沿った結果の達成が必須なんだと捉えました。そうして、ROYALから分店させることが決定して、2022年にVENUSができました。正直に言うと分店したのは、自分たちがより高みを目指すためだと思っている部分が大きかったです。
——目標に向けて、着実に動いていたんですね。
わっさん:ROYAL・VENUSの2店舗を牽引していくためにマネージャーに就任しました。成し遂げたというよりは、達成したい目標に沿ってステップアップしていったという感覚です。
2022年のVENUSのオープンと同時に、YouTubeやTikTokもスタートしました。当時の僕は、このタイミングで、主力業務の軸足が現場からYouTubeになり、ROYAL・VENUSのことを合間にサポートするような形になりました。同じ時期に、ひろむがPLACEに着手していき、店舗展開が進んでいきました。
今までは、店舗展開をするとどこかは成功して、どこかは失敗することが通例でした。その点、ROYAL・VENUSはどちらも店舗として成功の道筋を歩んでいたため、その部分を経営陣に評価していただきました。この結果が僕の武器となり、ひろむが総社長に就任する際、グループ管理・監査に任命されたんです。
——グループ管理・監査に就任したタイミングで、ALLESが誕生した流れですよね。
わっさん:今までの分店は、どこかの店舗から派生して新たな店舗が生まれていたのですが、ALLESはいろんなお店の良さをかけ合わせて生まれました。このALLESを成長させて大きく展開していくことも挑戦の一つでしたね。
——これまで歩んできた中で、苦労したことを教えてください。
わっさん:これまでを振り返って話していくと、順調に進んでいたように聞こえるかもしれません。ただ僕自身は、想像よりも時間がかかったなと感じるんです。全てがスムーズにいっているなんて、日々過ごしていく中で全く思っていなかったですし、都度悩んだり、戸惑うこともありました。
一番苦しんだ部分は、店舗数を拡大して展開していくことでした。先ほどもお話しましたが、マネジメントしている店舗の質よりも店舗数で評価される部分に納得がいかず、モチベーションを維持していくことが難しかった時もありました……。この時期は、自分の中で納得のいく考えを自分なりに出して動くことよりも、ATOMグループの方針に従って「郷に入りては郷に従え」の精神で、自我を手放して、道を切り開いていくために必要なんだと言い聞かせて動いていました。
新たな挑戦から見えた、達観した経営戦略。
——その他に苦労したことはありますか?
わっさん:このときは、YouTubeでも苦労していましたね。
——今までとは違う、新たなジャンルでの挑戦ですもんね。
わっさん:良い方はちょっと尖っているように聞こえるかもしれませんが、ホストクラブって”なんちゃって運営”でも結果が出る業種だと僕自身は感じることがあるんです。
現に、ホストクラブって、結構乱立しているじゃないですか。昨今のホストバブルの波に乗って、ホスト力がそんなに身についていないまま、売れる人もたくさんいる業界だと思っています。
そのような”なんちゃって”現象が、経営や運営に回っても起きる可能性もあると、自分自身に自戒として言い聞かせているんです。毎日営業できる環境さえ整っていれば、ホストの教育がちゃんとできていなくても売り上げを作れたり、お店が繁盛していくことがあると、経験則的に感じています。
プレイヤーや内勤の人数を増やしていくことや、従業員が辞めない環境づくりなどももちろん重要だとは言いますが、仮に、そういった部分が完璧に回っていなくても、お店として成り立つことは可能な業種だと思うんですよね。
このような状況が成り立つからこそ、店売りの成長が自分の経営力や運営力に直結していると思い込んで、”俺はすごい”と勘違いしてしまう指導者が、中には出てくる可能性もあると思うんです。
僕の個人的な視点からみると、経営者、運営者になった気になれてしまう業界が、ホスト業界なんですよね。その点、会長・ひろむをはじめ、現在のATOMグループの経営層は、そのような驕りに陥らないように、謙虚に経営・運営を行なっていると感じています。
また、YouTubeなどの別の業種にいくと、ホスト業界と同じような”なんちゃって”は一切通用しないことを、僕は身をもって体験しました。やるべきことをやると結果が出る、やり切れていないと結果は出ないという当然のことが起きるんです。
そのときに僕は「自分はもしかすると”なんちゃって”運営をホストクラブでやっていたのかもしれない」と痛感しました。そこで大きな壁にぶつかったというか、「自分は実は何も成し遂げていないのかもしれない」と漠然と思っていた考えが、確信に変わりましたね。
——「YouTubeを運営する」という新たなジャンルへの挑戦は、地に足をつけて取り組まないと成功しないと感じたんですね。
わっさん:まさにそうですね!また、ホストクラブ以外の別ジャンルで成功を収めた人材が、ホストクラブのグループ経営陣には必要だと感じました。
ホストクラブだけでなく、別ジャンルでも成功している人が多角的な視点をもって本質を伝えるからこそ、ホスト運営だけで成功していると思い込んでしまった”なんちゃって”で満足している運営層がもしも生まれた時にでも、その考え方が間違いであると正しく理解させる教育ができると思ったんです。
だからこそ、ひろむを含めた経営層が、ホスト経営だけでなく、YouTubeという別ジャンルでの成功を通じて、本物の経営者・運営者になっていく過程をグループ全体に見せていくことで、今以上の大きな結果に繋がっていくと僕は確信していますし、ひろむもそういったマインドを持ち合わせていると僕は感じています。
——自分自身の能力が高いと錯覚してしまいそうな中、すごく俯瞰でグループ運営を捉えているんですね。
わっさん:ATOMグループは、”なんちゃって”経営者ではない会長をはじめとした経営層がいて、その中で、更に新しい視点を持って成長を重ねているひろむがいるからこそ、大きな躍進を遂げているんだと思います。本物の会長と、本物のスターとしての器があるひろむがいることが強みですよね。
僕はROYALやVENUSなどを運営していた当時の自分自身のことを、まだ何者でもなかった”なんちゃって運営者”だったのだと今では認識しているので、その当時の殻を破るために、新しい運営層のメンバー達と、日々謙虚に努力をし続けることを大切だと考えて仕事をしています。
——すごく高次元なお話ですね。
わっさん:「ホストクラブを”なんちゃって”で運営できてしまう可能性がある」という危険性を理解している人は、自分自身を凄い人間だと勘違いしてしまうことってなくなっていくものなんですよね。
例えば、副社長の皓さんなどは、そうした謙虚な姿勢を、まだ店舗のマネージャーだった当時からずっと一貫して持ち続けていらっしゃいました。そもそも、20代からホスト業界に入った人間って、社会的に不真面目だった性質を持つ人も多いわけで、経営や運営の天才である可能性なんて一握りだと思いますし、そこは常に自戒を持って、驕りを捨てて、利他的に頑張り続ける姿勢が大事だと思いますね。
グループ管理・監査としての歩み方、今後の展望とは…
——グループ管理・監査として今取り組んでいることは何ですか?
わっさん:現状は、メンバーそれぞれのタスクを整理している段階です。議事録の管理、本部隊の全体の管理などを主に任されています。
——これから成し遂げたいことはありますか?
わっさん:今、僕はひろむん社長のファンクラブの運用に力を入れていて、そこで得たものがホストクラブ事業に還元できると思っています。先ほどもお伝えした通り、ホスト事業以外のジャンルでの成功は、グループにとってもプラスになると思うので、特に注力していきたいですね。
グループ運営において大事にしていきたいのは、「これは仕方がない」と現場が思って諦めてしまう仕事のレベルを、運営層が決して諦めずに、もっとクオリティを上げることだと思っています。
例えば、従業員がお客様を怒らせてしまったとします。そちらに対応してもお客様の怒りが収まらなかったときに、すぐに「これは仕方がない」と現場が思って諦めないようにしていきたいです。あらゆる手を尽くして、全部出し切って、いろんな角度から考えてみたが困難なことが起こったときに初めて、「仕方がない」に着地すべきだと思うんです。
その他、各店で会議はしているけれど、ちゃんとまとめきれていないことがあるにも関わらず、従業員が辞めてしまったことや、お店の売り上げが上がっていないことを「仕方がない」で終わらせるのは違うと感じています。諦めるのが早すぎると気付かせたいです。仕方がないと思うクオリティを、現場外から引き上げていきたいですね。
——わっさんの動きは、皆が気付いていない部分に気付きを与えながら、本質を見極められるように導いているように感じますね。
わっさん:自分が周りに最低限必要とされる仕事をする勘所は常に理解しているんです。ただ僕は心配性なので、自分を守りにいってしまうこともあります。だからこそ、行動を先に起こして、周りにとって必要な人であり続けられるように努力しているんですよね。自分の得意なことを理解していると、自ずと組織においてのポジションは確保できるものだと経験値的に感じています。
今後は自分から導き出したアイデアで社会に影響を与えられるようになっていきたいです。
——ひろむん総社長の体制になったATOMグループの今後はどうなっていくと思いますか?
わっさん:これからは、運やノリだけでは成功できないなと思っています。ホストグループの経営が失敗してしまう原因としてよくあるのは、「やってはいけないことをやっていたから」だと思うんです。
例えば、経営者が賭け事に狂ってしまったり、お客様を蔑ろにしたり、従業員を大事にしなかったり、適切な給与を支払わなかったり等、ホストクラブ経営を甘く見て驕ってしまうことが経営の失敗に直結すると感じています。そしてこれまで、そういった「やってはいけないこと」をATOMグループは決して許さなかったから、今があるんですよ。
そして、ここからはそういった当たり前なことだけではなく、経営改善におけるたくさんのアイディアを出して、打席に立つ数を増やして、結果を掴む必要があるところに来たと思います。経営層がどれだけ本気になれるかが重要ですね。
——今までの既存のルールから解放されて、新しい世界を生み出していくんですね。
わっさん:ここで本気になれば確実にATOMグループは大きくなるし、ここで打席に立つ回数を減らしてしまったら衰退していくでしょう。今が経営においての岐路だと感じますね。
1年前と比べて、やりやすくなってきたと感じることは多いです。ただ、やりにくさを感じて反骨精神で頑張る者も多かったので、ここからのモチベーション維持は重要ですね。小さなことから別のストレスが生まれる可能性もあるので、そこはフォローが大事だと思っています。そのあたりのバランサー的な働きは、グループ管理・監査の役割だとも感じています。
——最後に、ATOMグループでこれから働きたい方にメッセージをお願いします。
わっさん:やってはいけないことをやらずに努力したら、確実に結果が出ると伝えたいです。別の仕事で躓いた方でも、この部分を大事にすると必ず成功できると僕は感じています。ものすごくシンプルなことですが、これが本質だと思うんです。それだけで勝てます!