ATOMグループの旗艦店であり、グループトップクラスの実力派ホストが集結するATOM本店。そんなATOM本店でプロデューサーを務める「浪速のなっちゃん」ことなつきさんは、長年グループの広告塔として一際強い輝きを放つ存在です。誰にでも裏表なく接するなつきさんですが、強者揃いのATOM本店をどのように導いてきたのでしょうか。今回は、なつきさんが店づくりで重視しているポイントや、ATOM本店ならではの運営体制についてお話を伺いました。
“ええやつ”同士が楽しく働ければ、自然と良いお店になる
―ATOMグループで売上No.1店舗を目指すために意識してきたことを教えてください。
一番重視してきたことは「人間力」ですね。
ホストって、なかには自分のことだけを考えて行動してしまうプレイヤーもいるんですけど、人の立場になって物事を考えられる“人間力の高いプレイヤー”に導くための教育を行ってきました。
人間力をどのように磨いていくかに関しては「当たり前と思えるレベルを上げていくだけ」だと僕は思っています。
例えば、裏で愚痴を言わないとか……最初は本当に小さなことから改善できるように取り組んでいきました。
「こんな小さな問題で会議しなければならないのか」と思うことも、以前は正直ありましたね。
でも、そうやってコミュニケーションを重ねて人間力が備わってくると、各々が自分で考えて行動してくれるようになったんです。
今は人に任せられることも増えてきたので、人間力の教育は本当に重要だなと感じましたね。
あと、感謝の気持ちを持つことはもちろん重要ですが、僕は「楽しく働けること」が大切だと思っています。
例えば、その日のシフトが好きな先輩・後輩とかぶっていたら、出勤前から「今日はあの人と一緒に働けるんだ」って楽しい気分になるじゃないですか。
もちろん仕事中も楽しく働けるわけで、僕はその環境が理想だと考えているんです。
「楽しさ=居心地の良さ」につながると思いますし、人間力の高いプレイヤー同士が楽しく働けていたら、自然と良いお店が出来上がりますよね。
―レクリエーションも積極的に行っているとお聞きしました。
ATOM本店のレクリエーションは、僕もびっくりするくらいお酒を飲むんですよ(笑)!
でも、そこまで飲むからこそ本音で語り合える部分もあるんじゃないかなと思います。
僕自身、従業員に接するときは「自然体でいること」をとても大切にしているんです。
変なプライドを持ったり、駆け引きをしたりすることなく接すれば、自然と相手も心を開いてくれると思います。
―退店防止策はどのように実施していますか?
まず、僕はこのような図を見せるようにしています。
「売上はあまり高くないけど、ヘルプが上手くて性格の良いプレイヤー」とか、「自分のことだけを優先しがちだけど、売上は高いプレイヤー」など、いろいろなプレイヤーがいると思います。
そのなかでも「売上が低い+お店の愚痴ばかりを言ったりするような人間性の低いプレイヤー」に関しては、あまり引き止めるようなことはしていませんね。
もちろん、何度か話を聞いたうえで改善できそうな部分があれば寄り添うようにはしています。
ただ、ATOM本店は本当に良い環境になってきているので、そこに悪影響を及ぼすようなプレイヤーに関しては、強く引き止める必要はないと伝えていますね。
それと、なぜ辞めたいと思ったのかという理由についても、しっかり話を聞くようにしています。
辞める理由が「夢を実現するため」なのか「現状から逃げているだけ」なのかによって、対応の仕方は変わりますね。
「ここで働き続けたい」と思ってもらうためには「働いていて楽しい」と感じてもらえるような環境を整備しなければなりません。
「日々の営業で楽しく働いてもらえること」が、一番の退店防止策だと思います。
共通の想いを胸に込めた、チーム分業制を採用
―ATOM本店は、チーム分業制で運営しているとお聞きしました。
そうですね。「楽しさ」を重視しているので、チームの分け方はプレイヤー同士の相性で決めています。だから、チームの人数もバラバラです。
どのチームに入りたいのかについては僕が面談する場合もありますが、最近はプレイヤー自身が「このリーダーについていきたい」と希望するパターンが増えてきましたね。
―売上を伸ばすための施策として、チームバトルなどは行っていますか?
全くしていないですね。
ATOM本店は、本当にチームによって考え方やテーマが違うんです。
ただ、各チームリーダーには「より良いお店にしたい」という共通の想いがあります。
僕はそこさえ同じ方向を向いていれば、結果に至るまでのプロセスは違っていいと思うんですよ。
でも、この状態まで仕上げるのにはかなり苦労しましたね……3年はかかったと思います。
―チームメイトの「売上を伸ばすこと」がチームリーダーの主なミッションですか?
僕からチームリーダーに、売上に関する教育を求めたことはないかもしれません。
個人もそうですし、チームの売上ノルマも特に設けていませんね。
どちらかというと、チームメイトの「人間力を伸ばすこと」が主なミッションかなと思います。
―チーム分業制を始めたのは、約3年前とお聞きしています。
そうですね。
それまでのATOM本店はあまり良い状態とはいえなかったんですけど、マスター (店長)の存在が本当に大きかったです……。
マスターが多方面で調整を図ってくれて、僕にもすべての情報を共有してくれていました。
彼の存在がなければ、今のATOM本店はなかったかもしれませんね。
売上よりも顧客満足度を優先。日々の“ラスソン”が最強のイベント
―ATOM本店は「お酒が強くないプレイヤー」でも売れているケースがあるとお聞きしました。お酒が飲めない・強くないプレイヤーが売れるための秘訣はありますか?
目先の売上よりも「顧客満足度」を重視することじゃないでしょうか。
そこを意識することができれば、お客様は絶対に戻ってきてくれます。
お酒は楽しむためのツールというだけであって、たとえ単価が安かったとしても目の前のお客様を全力で楽しませるということが重要だと思いますね。
ただ、過去にはお酒を飲まなくても売れたプレイヤーはいましたが、現在ではお酒を飲むプレイヤーのほうが売れる確率は高くなっているかもしれません。
―ATOM本店は、バースデー以外にイベントを開催していないとお聞きしました。その理由と、イベントを開催せずとも売上が立つ要因について教えてください。
イベントを開催することで、一部のお客様には楽しんでいただけるかもしれません。
しかし、すべてのお客様に行き届いたサービスをイベント開催によって提供できるかというと、どうしても難しい部分があると思うんです。
その結果、お店全体の顧客満足度が下がってしまうかもしれないという懸念があるので、バースデー以外のイベントは基本的に行っていませんね。
その代わり、ATOM本店では「ラスソンの価値」を重視しています。
例えば、「ATOM本店で担当にラスソンを獲ってもらうことは簡単ではない」という認識がお客様やプレイヤー全員に浸透していけば、おのずと店舗のレベルは上がっていくと思うんですよ。
だから、「日々のラスソンを最強のイベントにしよう」と従業員には伝えています。
今後もATOM本店に来ていただいたお客様に満足いただけるよう、日々の営業を大切にしていきたいですね。