アトム初期から入店し、ホストとして活躍後、30歳を機にプレイヤーを卒業。現在はボードメンバーとしてグループ全体の経営にたずさわる、本部長鏡月(カガミライト)さん。バックオフィスを支える業務領域を、幅広く統括する存在です。中でもスタッフの満足度を高める、従業員エンゲージメントに尽力されています。そんなライトさんに、人との向き合い方などを語ってもらいました。
グループ全体を見渡し、支えるポジション。多岐にわたる業務を、統括。
──現在、運営側として、経営に参画されていますね。
今のアトムは、プレイヤーである「ホスト」と、組織を支える「内勤」が区分化されていますが、初期の頃は接客をしながら、経理や業者管理、お店に飾るポップや映像づくりなども兼任している状態でした。組織が拡大するにつれ、ひとりで全部を担うには、無理が生じてきました。そこで、28歳のときに「事務方に専念したい」と会長に伝えました。引き継ぎの2年間を経て、30歳でプレイヤーを卒業し、バックオフィスに専念することになりましたね。
今は、ホールディングス全般の採用や労務、人材育成といった人事業務から、広報や行事などの企画立案、制作にいたるまで、幅広い領域を担当してます。もちろん全部を自分だけで実行するのは不可能なので、任せるところは信頼できるスタッフに託していますね。
──直接手掛けている業務内容を教えてください。
スタッフたちのメンタルケアやモチベーションの向上のサポートに、直接たずさわっていますね。満足度を高めて定着率を上げ、組織の強化につなげています。スタッフのやる気を上げるためのイベント企画や運営、社内外向けの広報物の制作、動画の脚本・演出、制作などもAdobeのソフトを使ったりしながら、自ら手を動かしていますよ。制作は興味深い仕事ですが、飽き性なところがあるので、ある程度まで上達したら、次のことにトライしています(笑)。
──採用にも、たずさわっているそうですね。
ホストの場合、最初の面談は担当しますが、あとは各店に判断をしてもらいます。他の業態と違い、ホスト業界は特殊で、圧倒的な売り手市場。過去の事例でいうと「クロックスで来た」「連絡が1ヶ月遅れている」といったような、よっぽどなことが無い限り、不採用ということはありません。ただ、どんなに男前だったとしても、非常識な人を入社させると現場が苦労するので、その辺りは冷静に判断をしていますね。ホスト以外だと、グループ会社のエステサロンの女性従業員や、クリニックの看護師の面接にも、間接的に加わっています。
従業員エンゲージメントを高め、「組織を強くする」というミッション。
──スタッフのやる気を引き出し、満足度を高めるためにやっていることは?
シンプルにいうと「親身になって、話を聞くこと」です。深掘りしていうと「承認欲求を満たす」ことが重要だと思っています。人間、誰しも「自分に矢印を向けてくれる存在」を求めていますが、立場が上になったりすると、部下たちの手前やプライドなどの理由で、弱音を吐く場所が無くなり、それが離職の原因になったりしがちです。
そうしたことを防ぎ、組織を強くするために、メンタルケアに力を注いでいますね。必要なのは、普段から信頼関係を構築するコミュニケーションです。僕の役割は絆創膏のようなものなので、傷が浅いうちは有効的ですが、深い状態になってしまってからだと手遅れ。そうならないように、常に目を配っています。
──信頼関係を構築する秘訣を教えてください。
一例をあげると、「Aさん」のことを知りたいとき、「仲の良い、Bさんも一緒に」と、ご飯に誘います。すると、客観的なBさんの視点も加わるので、Aさんを立体的に理解し、僕が知らない一面も知ることができますよね。また、Aさんの人間関係の把握や、「仲が良い」と選ばれたBさんもうれしい気持ちになるので、いいことばかりです。
──ご自身で、「楽しい」と感じる業務はありますか?
仕事において、感情に左右されることはないので、「これが楽しい」といったことはないですね。すべて「平(へい)」という認識です。プレイヤーのときは、勝ち負けがハッキリしているので「男同士、熱くなる」ということもありましたが、今は俯瞰的に組織を捉え、物事を粛々と推進しています。苦労したのは、元々僕は、「狭く深い人間関係」がほとんどでしたが、人事は「広さ」が求められるので、少しだけ大変でしたね。
当たり前のことを、コツコツと地道に。みんなから愛される「人間力」を重視。
──アトムで「活躍する人材」の特徴は?
「男から好かれるやつ」ですね。一匹狼タイプは、当社のニーズに合っていないと思います。人間力が評価され、「あのホスト、アトムっぽいね」という言葉を聞くと、育成する側としては喜びを感じますね。人間力といっても、最初から難しいところを求めているわけではなくて、たとえば「人の悪口は言わない」「スタッフたちにマウントをとらない」といった、普通のことです。当たり前を徹底することで、お客様から自然と愛されるキャラクターになり、ヘルプに付くスタッフも、気持ちよく仕事をすることができます。
たとえば、今は1300万円プレイヤーの「しぐま」は、採用のとき「地方から出てきた感」が強いイメージでした(笑)。ただ、仲間想いで負けず嫌いの、ええやつでしたね。今ではよく表彰されている「るる」も、他店でちょっと経験があったのですが、伸び悩んでうちに来てくれました。るるは今もよく連絡をくれていて、ご飯に誘われることも多いです。よくドタキャンはされるんですがね(笑)。現在の売上No.1になるのは正直驚きましたが、本人の努力があったからだと思います。
──これからアトムグループで働きたいと思っている方、今伸び悩んでいるプレイヤーの方たちへメッセージをお願いします。
きちんと自分の夢や目的達成に向けて走り続けて欲しいですね。例えば、「他に明確なやりたい事がないからホスト業を続ける」「ホスト業を諦めたから裏方業に回る」みたいな人格になって欲しくないと思っています。
僕自身もホスト業で失敗したから抜けたんでしょと思われることもありますが、きちんと自分なりの納得いく結果(今のホストたちの売上には足元にも及ばないけど当時グループNo.4)を出してから多方面へ視野を広げました。なので、後輩たちにはひとつの明確な目標を作ってそれに向かって走って欲しいです。
なかなか思うような結果が出なくて辞めたくなったり休みたくなったりするけど、努力と結果は必ず比例するからもう一度自分の夢や目標を見つめ直して欲しいですね。
ホスト業界はひとりで1000万売上げることが当たり前の時代になりました。凄いバブル市場なので、他では決して手に入れられない栄光やお金を最短距離で掴み取っていきましょう。