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高い観察力で、ニーズのあるタイミングを見極める。ホストとしてだけでなく、“人間力”を成長させるための秘訣とは

2023/04/08

個性豊かな実力派ホストが揃うSTELLAにて、取締役を務める桐生翔斗さん。細部まで配慮された思考とロジカルな話し方が印象的な翔斗さんですが、人材教育についてはどのような姿勢で取り組んでいるのでしょうか。「昔から人間観察が好きで、気になったことはとことん追求してしまう」という翔斗さんに、従業員に対する教育やコミュニケーションにおいて意識しているポイントなどを伺いました。

 

相手をよく観察し、絶妙なタイミングで手を差し伸べる

 

―新人教育に関して意識しているポイントを教えてください。

 

これは業界関係なく言えることだと思いますが、最初から社長や代表などの経営層が新人に対して指導をしてしまうと、その人たちの言うことしか聞かなくなってしまう可能性があるんです。

 

もちろん声掛けなどは行いますが、幹部補佐や主任など、いわゆる中堅層に新人教育は任せるようにしていますね。

また、新人教育の内容を役職ごとに設定するようにしています。

 

例えば、幹部補佐は「挨拶・テーブルマナー」、副主任は「新規顧客の獲得方法」、主任は「リピートや組数の伸ばし方」といった具合です。

新人に対して、いきなり高度なテクニックや運営陣の豊富な経験を話しても理解できないと思うので、役職ごとに段階を踏んで教育するようにしていますね。

 

また、入店3か月を経過したタイミングというのは、顧客を獲得できていないプレイヤーが退店を考えるタイミングでもあると思うんですよ。

そこをケアするために、僕と新人に加えて、その新人をこれから育ててほしいと思うプレイヤーも一緒に食事に行くようにしています。

 

あとは、マンツーマンの教育ではなく、その新人の上位互換となるような先輩をバディとしてつけるという体制をとっていますね。

大体3か月ごとのスパンで状況を確認し、そこであまり相性が良くなければ、また違う配置に変更していくというスタイルです。

 

ただ、新人教育は幹部陣に任せているとはいえ、「何かわからないことがあったら僕に聞いてもいいからね」ということは伝えています。

ただし、この時の“質問の仕方”には注意するよう伝えているんです。

例えば、LINEの返信方法について「こういう場合って、どう返信したらいいですか?」という質問をするのではなく、「この内容で返信しようと思うのですが、何か改善すべき点はありますか?」といった具合の質問をしてほしいんですよ。

従業員には「自分がどうしたいのか」ということを考えて、行動・発信できる力を養ってもらいたいですね。

 

―人間力の教育に必要なことに関して翔斗さんの意見をお聞かせください。

 

“人間力”を伸ばす前提として、まずは「人から好かれる人間」になる必要がありますよね。

そして、人から好かれるためには「距離の縮め方」が重要なポイントだと考えています。

 

例えば、“毎日食事に誘ってくれる人”と“自分が落ち込んだ時にピンポイントで食事に誘ってくれる人”だと、自分のことを理解してくれていると感じるのは後者だと思うんですよ。

 

つまり、「いかに相手のニーズがあるタイミングで手を差し伸べられるか」ということが重要になるのですが、これを実践するためには日頃から相手のことをよく観察して、少しでも多くの情報をインプットしておく必要があります。

 

日頃から密なコミュニケーションを実践できていれば、「この人はこういう趣味や長所があるから、この席についてもらおう」とか、仕事にも活かすことができると思うんです。

“人間力”の教育方法に明確な答えはないかもしれませんが、こういった姿勢で人間関係を構築することができれば、おのずと人間力は向上していくのではないかと思いますね。

 

まずは「笑顔」と「愛想の良さ」を徹底することから始めて、徐々に相手のことをより深く理解できるような立ち回りを意識することが重要ではないでしょうか。

 

桐生翔斗

 

物事を店舗全体で捉えるのではなく、従業員の特性に応じて柔軟に対応

 

―実施している退店防止策について教えてください。

 

まず、成果を出した子に対しては、しっかりと褒めることが重要だと思います。

先輩に褒められたら誰でも嬉しいですし、「自分が尊敬している先輩に褒められたいから売上を作りたい」というプレイヤーもなかにはいると思うんですよ。

だからこそ、従業員から好かれやすいプレイヤーであるほど、後輩が何か成果を出したときには褒めてあげてほしいと思いますね。

 

あとは、従業員の趣味や好きなことを把握し、共通点が多い従業員同士をマッチングさせることで、その子たちの居場所を提供するということも意識して行っています。

もし運営陣のことが好きではなかったとしても、仲の良い同期や好きな先輩がいれば、このお店で働き続けたいと思ってくれる子は多いと思うんですよ。

この点は、教育全般と連動している考え方かもしれませんね。

 

また、レクリエーションは仕事の一環としても実施する必要があると思いますが、全員を強制的に巻き込むのではなく、従業員それぞれの特性や趣味に合わせた交流を促すことが重要だと思います。

 

―従業員からの要望や不満の吸い上げはどのように行っていますか?

 

従業員からの不満や、辞めたいと言っている従業員の情報などは運営陣の会議で共有していますね。

 

その他の細かい悩みに関しては、バディとして教育しているプレイヤーから報告をもらっていて、そこで情報の吸い上げを行っているという形です。

ただ、プレイヤー同士の相性を考えてバディを組ませるようにしているので、僕に相談する前に対応可能なケースもあるんですよ。

だから内容によって、教育を担当している幹部から間接的に情報を吸い上げる場合と、悩んでいる従業員から直接話を聞く場合の2パターンがありますね。

 

ケースバイケースで、いつでも相談できるような窓口を用意しておくということが重要なのかなと思います。

 

桐生翔斗

 

何もわからないまま終わるのではなく、相手を知ろうとする努力が“人間力”の形成にもつながる

 

―インタビューを通じて非常にロジカルな印象を受けましたが、現在の翔斗さんを形成した過去の経験について教えてください。

 

僕は学生時代にホストを始めたのですが、当時は“自分と合わない”と感じたプレイヤーとは関わらないタイプだったんですよ。

 

そんな時に言われたのが「自分に必要ない人材だと決めつけるのではなく、その人にも何か長所があるはずと考えて接してみたら?」という言葉でした。

 

そこで、僕が当時苦手だった方と食事に行ってみたのですが、最初はやっぱり苦手だと思いました(笑)。

ただ、話していくと「意外と情に厚いな」とか「意外と真面目だな」という、新たな側面を見つけることができたんです。

自分が苦手な相手だったとしても、“自分から興味を持って探してみると意外な長所が見つかる”ということがわかりました。

 

最初から“この人は苦手だ”と決めつけるのではなく、まずは自分から相手に興味を持って接することで魅力を探し、そこからどういった人間関係を構築するかということを考えたほうがいいと思います。

 

相手のことを知る努力をせず、何もわからないまま関係性を終わらせるなんて、もったいないですからね。

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